意匠権の類似範囲について
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意匠権というと使いにくい権利だと思われがちです。巧妙な模倣品に対して権利行使が出来るのか、類似範囲が狭くて使えないのでは、などという疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。しかし必ずしも意匠権の類似範囲は狭いものではありません。
たとえば図1を見てください。
これらの登録意匠はどのような類似関係にあると思いますか。先行意匠も示さないで判断しろと言われても無理な話ですけど、まあそこは措いてください。
実は登録意匠1は本意匠、登録意匠2と登録意匠3は登録意匠1の関連意匠として登録されています。つまり、登録意匠1と登録意匠2、登録意匠3は類似関係にあるということです。
これら3つの意匠は最近流行の乗馬運動器具です。(物品名は「身体鍛錬器具」)。部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は座部及び持ち手部。3つの意匠のどこに違いがあるかというと、持ち手部が違います。それぞれの持ち手部はオーソドックスですが、かなり異なる形状をしています。これらの意匠が類似であると認められたわけです。
さて、ここから次のことが考えられます。すなわち、持ち手部をもっと異なる形状にした模倣品が出現しても類似範囲に含まれる可能性が高いということです。持ち手部の形状があまりにも独創的であれば非類似にもなりえますが、持ち手部の形状なんて違ったとしても大体決まってくると考えられますから、座部が共通する模倣品が類似範囲に含まれる可能性はかなり高いといえそうです。
そう考えるとなかなか広い類似範囲だと思いませんか。ちなみに、この登録意匠1は他にも4件の関連意匠が登録されています。
ではもうひとつ、多くの関連意匠が登録された例を見てみましょう。図2を見てください。
これは、デジタルカメラに係る部分意匠の権利をまとめたものです。左上の権利を本意匠として、11件の関連意匠が登録されています。部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本体中央の筒状レンズ部を含む円盤部分です。筒状レンズ部の位置(上にあるか右にあるか等)と数(1ヶか2ヶか)の違いのバリエーションを出願したところ、関連意匠として、つまり類似として判断されています。
図を見るとわかりやすいのではないかと思いますが、容易に考えられそうなバリエーションを網羅して出願してあり、全て類似関係にあると判断されているのですから、これも比較的類似範囲が広いのかもしれません。ただ、もう少し出願件数を抑えられるかもしれませんが。
以上見てきた通り、ケースによっては類似範囲が広く判断されることも起こり得るわけです。私だったら、公報を見ていて関連意匠が多く登録されていると、これは真似しちゃいけないな〜って思っちゃいますね。
《出典》事例にみる意匠出願戦略ガイド(創英知的財産研究所)
