《手続きを忘れた!間に合う?》
~その1~ ―出願(優先権主張・新規性喪失の例外適用)・審査請求―
- «Previous:
- 特許を取れたらどうなるの?
- »Next:
- 《手続きを忘れた!間に合う?》
~その2~ ―拒絶理由応答・審判請求―
(1)間に合う?―優先権主張の記載―
今回は、出願と同時にしなければならない手続を説明させていただきます。
そして、手続きを忘れてしまったらどうなってしまうでしょうか。
まず、国内優先権主張出願について説明致します。
国内優先権主張出願をするには、忘れてはいけない事項があります。
その前に国内優先権主張出願とはどのような制度でしょうか。
国内優先権主張出願とは、出願後に改良発明を思いついた場合、新たに出願をしても先の出願とあまり差がない場合は、先の出願と同一として拒絶されるおそれがあります。また、先の出願に補正により追加しようとすると新規事項追加として拒絶される可能性もあります。
そのような危険性を避けることができるように「国内優先権主張出願」があります。
・特許出願等に基づく優先権の主張の効果
後の出願に係る発明のうち先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲(実用新案登録請求の範囲)又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあっては、外国語書面)に記載されている発明について、その発明に関する特許要件(先後願、新規性、進歩性等)の判断の時点については後の出願の日又は時ではなく先の出願の日又は時になされたものとして扱い、先の出願の日と後の出願の日の間になされた他人の出願等を排除し、又はその間に公知となった情報によっては特許性を失わないという効果を有します(特41(2)。)
後の出願に係る発明のうち先の出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲(実用新案登録請求の範囲)又は図面に記載されている発明について先の出願の日又は時に出願されたものとみなされます。
・先の出願の取下げ等
(1)先の出願は、その出願の日から1年3月を経過した時に取り下げたものとみなされます(特42(1)。)
(2)特許出願等に基づく優先権の主張は、先の出願の日から1年3月を経過した後は、取り下げることができません(特42(2)。)
(3)特許出願等に基づく優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から1年3月以内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなされます(特42(3)。)
そして、以下の事項は「出願時」に、必ず願書に記載しなければならない事項です。
【先の出願に基づく優先権主張】
【出願番号】特願2008-999999
【出願日】平成○○年××月△△日
この下線を引いた部分を忘れてしまったら、前で説明させていただきましたが先の出願と同一として拒絶されるおそれがあります。必ず願書に記載して下さい。
もし、忘れてしまったら先の出願が1年以内であれば再出願をすればいいのですが
1年を過ぎてしまっていた場合には、優先権は回復しませんので、注意が必要です。
(2)間に合う?―新規性喪失の例外適用の記載―
新規性喪失の例外適用出願について
上の優先権主張出願と同じで新規性喪失の例外適用出願には忘れてはならない事項があります。
新規性喪失の例外適用出願とは、
特許を受けるためには、発明は新規なものでなければならず、出願前に発明が公表されていまうと特許を受けることはできません。しかし、発明保護の観点から、一定の例外が設けられています。
「新規性喪失の例外」が適用される場合は以下に限定されています。
(1) 人の目に触れる場所で試験を行った場合
(2) 特許庁長官が指定する研究集会において、文書をもって発表した場合
(3) 刊行物やインターネットを通じて発表した場合
(1)~(3)の発明については、現実には新規性を失ったものであっても、特許法上は新規性を失わないものとみなし、発明の保護を図ることにしています。
但し、この制度を受けようとする場合には新規性を喪失するに至った日から6ヶ月以内に特許出願をしなければなりません。そして、所定の証明書を出願から30日以内に提出しなければなりません。
出願時に
【書類名】特許願
【整理番号】P○○○○○○-○○
【特記事項】特許法第30条第○項の規定の適用を受けようとする特許出願
【提出日】平成○年○月○日
下線を引いた部分は忘れてはならない事項です。そして、所定の証明書は「新規性の喪失の例外証明書提出書」で出願から30日以内に提出をします。
この2点を忘れると、通常の出願として取り扱われてしまいます。
(3)間に合う?―審査請求―
出願と同時にしなければならない手続ではありませんが、審査請求は絶対に出願から3年以内に提出しなければなりません。この期限については、1日でも徒過してしまうと、取り返しがつきません。権利回復の機会は、ありません。
但し、昨今の景気の急速な悪化を受けて、企業等の資金的な負担を軽減するための緊急的な措置として、平成21年4月1日以降に行われる出願審査請求については、出願審査請求書の提出日から1年間に限り、審査請求料の納付を繰り延べできることとなりました。
この制度を利用するには
納付繰延制度を利用する場合の「出願審査請求書」の記載方法
1.【手数料の表示】の欄は設けません。
2.【その他】の欄を設けて、「審査請求料は納付繰延する。」と記載します。
繰延制度を利用する場合も必ず出願から3年以内に上記のように記載して出願審査請求書を提出してください。但し、この場合も、費用支払いを繰り延べることができるだけで、「出願審査請求書」自体は、「出願から3年以内」に必ず、提出する必要があります。
