(※2017年前半までの他のデータを交えて、中国における知的財産権の現状を紹介した記事はこちら

中国最高人民法院は「中国法院知識産権司法保護状況(2016)」を2017年4月27日に公表した。中国では知的財産権に関する民事案件第一審の件数は引き続き増加しており、2016年の新受件数については、中国は日本の271倍にまで達した。

全体の件数の推移は表1に示す通りで、2016年は対前年同期比で新受が24.5%増、既済が30.1%増となった。

<表1:日中における知的財産権関連の訴訟件数(全体)>
20170822-China1

法域別については表2に示す通りで、公表データの比較が可能な2015年について日中の新受件数を比較すると、商標で226倍、特許・実用新案・意匠のいわゆる司法ルートで67倍と中国の件数が極めて多いことがわかる。

 <表2:日中における知的財産権関連の訴訟件数(法域別)>
20170822-China2※日本の件数は出典(3)のデータを基に算出(著作権には、プログラム著作権に分類される件数を含まず)

なお、2016年における渉外知的財産民事第一審案件(外国企業が当事者である民事案件第一審の件数)は既済(結審)分が対前年同期比25.6%増の1,667件(構成比1.3%)で、増加幅は大きかったものの2014年の1,716件は下回った。

【出典】
(1)中国・最高人民法院「中国法院知识产权司法保护状况(2016年)
(2)ジェトロ「知的財産に関する情報 中国政府発表資料:2016年中国の法院における知的財産権司法保護に関する状況(日本語仮訳中国語原文)」
(3)日本・知的財産高等裁判所「知財高裁の資料 > 統計」、「知財高裁パンフレット(2017.3及び過去公表分)」

【参考】
科学技術振興機構(JST)「中国知財戦略に関する調査」(2017年3月)
日本特許庁「平成28年度知的財産に関する日中共同研究報告書(2017年3月):基礎調査 中国専利侵害訴訟判例データ分析報告書(2016年11月)」
日本特許庁「知的財産国際権利化戦略推進事業報告:平成29年度 海外における知財訴訟の実態調査」※海外の知財訴訟に関する実態把握を目的として実施された調査の報告書で、中国、韓国、米国、英国、ドイツ、フランス、タイ、インドネシア、台湾、インド及び日本における知財訴訟件数のほか、日本以外については、知財制度、裁判所構造および知財訴訟の流れが比較的シンプルに紹介されている

【関連記事】
季刊創英ヴォイス vol. 81 知財情報戦略室:データで見る中国における知的財産権の現状 ~特許権侵害訴訟の近況を交えて~ 2017-12-01

知財トピックス(東アジア情報)[全般/中国] 知的財産権関係の民事案件第一審の件数は増加も、外国関係の結審は減少 ~中国法院知識産権司法保護状況(2015)~ 2016-08-05
知財トピックス(東アジア情報)[全般/中国]現地の報告書から見る中国における知的財産紛争 ~知的財産紛争は約半数が取下げにより終了、行政ルートの専利権紛争事案は顕著な増加傾向~ 2017-10-05

知財トピックス(日本情報)日本における知的財産権訴訟の現状 ~特許権侵害訴訟(2014~2016年)の判決・和解は、認容16%、給付条項ありの和解27%~ 2017-11-20

知財トピックス(米国情報)[特許]米国特許訴訟の提起件数、2016年は大幅減 ~USPTOの当事者系レビュー申立件数は微減~ 2017-03-07

***追記(2018年9月18日)***
【参考】に「海外における知財訴訟の実態調査」を追加

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。