日米欧中韓の特許庁(IP5)がかねてより試行に合意していたPCT協働調査試行プログラムが2018年7月1日から開始される。

PCT協働調査では、1つのPCT国際出願に対して、主担当の特許庁(主担当国際調査機関)が、副担当であるIP5の他4特許庁(副担当国際調査機関)と協働して、特許可能性に関する判断を行い、1つの国際調査報告書等を作成し、出願人に提供する(概要は下図参照)。

<図:PCT協働調査試行プログラムの処理モデル>

PCT協働調査試行プログラム処理モデル

※Five IP Offices「Collaborative Search and Examination (CS&E)」で示されている「CS&E process model」に基づいて作成

出願人が当該試行プログラムへの参加を申請した新規のPCT出願が対象となり、2年間の試行期間中に各特許庁は主担当国際調査機関として100件、副担当国際調査機関として400件の出願を処理する予定となっている。また、対象となったPCT国際出願の処理にあたって、すべての参加庁により共通の品質及び運用基準が適用される。

参加要件、申請方法及び注意事項は特許庁ウェブサイトにて公表されており、「受理官庁として日本国特許庁を選択する場合、インターネット出願ソフトを用い、オンラインで提出」、「日本国特許庁が受け入れ可能な参加申請の総数は50件/年」等の詳細が示されている。

なお、試行期間中、2018年12月31日までは英語出願のみを受け付けるが、その後については、英語以外の言語(日本語を含む)による出願を受理することも検討されている(「五庁PCT協働調査試行プログラム(仮訳)」段落7.参照)。

***追記(2018年9月3日)***
【参考】にPCTニュースレター日本語抄訳へのリンク等を追加

***追記(2018年9月14日)***
欧州特許庁は、2018年9月14日、主担当国際調査機関として40件以上を受理し、初年度の予定件数に達したと発表した。開始から2か月程で予定数に到達したことになり、関心の高さがうかがわれる。

今後、欧州特許庁が国際調査機関(ISA)となる国際出願については、2019年1月にドイツ語及びフランス語の出願受理を再開し、2019年7月に英語の出願受理を再開するとしている。

【出典】
日本・経済産業省「10周年を迎えた五庁協力における新たなビジョンに合意しました ~第10回日米欧中韓五大特許庁長官会合の結果について~
日本・経済産業省「グローバルな特許制度の整備に向けて前進しました ~第11回日米欧中韓五庁長官会合の結果について~」※平成30年7月1日からの試行開始に合意したことに関する記事
日本特許庁「PCT協働調査試行プログラムについて
Five IP Offices「Collaborative Search and Examination (CS&E)
欧州特許庁「Quota reached for Collaborative Search and Examination pilot programme

【参考】
世界知的所有権機関(WIPO)「Collaborative Search and Examination (CS&E)」※内容はFive IP Officesの出典とほぼ同一
WIPO日本事務所PCTニュースレター日本語抄訳:2018年07-08月号 (No. 07-08/2018)(PDF)」※PCT協働調査の日本語による説明

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