特許庁は、2018年8月の産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会(第6回会合)で、意匠制度の見直しの方向性・今後の検討課題について議論を開始し、具体的な論点について意見募集を行っています(9月21日締切予定)。これまでの意匠制度の内容が劇的に変わる可能性も秘めており、要注目です。下記に、その内容をかいつまんでご紹介します。

  1. 画像デザインの保護について
    ・物品に記録されていない画像(クラウド上やネットワーク経由で提供される画像)の保護導入、物品以外に表示される画像
    (壁への投影など)の保護導入、物品の機能と関係のない画像(コンテンツ画像など)の保護導入の是非
    ・画像を含むソフトウェアの提供行為を侵害行為とする事の是非
  2. 空間デザイン保護について
    ・建築物(不動産)を意匠法の保護対象とする事の是非
    ・店舗等の内装デザインを保護対象とする事の是非
  3. 関連意匠制度の拡充について
    ・本意匠の公報発行日後においても関連意匠の出願を認める事の是非(※現状では公報発行日前までしか認められず、後出しによる関連意匠出願が可能となる場合は限定的)
    ・関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認める事の是非
    ・関連意匠の存続期間をどのように設定すべきか(例えば本意匠の存続期間に合わせるべきか)
  4. 意匠権の存続期間の延長について
    ・25年にする事の是非
    ・起算日を登録日ではなく出願日に変える事の是非
  5. 複数意匠一括出願の導入について
    ・複数の意匠を一括出願する事を認める事の是非
    ・一括出願の要件や制限(例えば、ロカルノ分類の同じクラスに属する物品であること、意匠数の上限)を設定すべきか
  6. 物品区分表の見直しについて
    所謂「物品名」の記載について、現状では省令で定める物品区分表に掲げられた物品の区分同程度の記載でない場合に拒絶理由となっているが、これを直ちに拒絶理由としない事の是非

画面デザイン(いわゆるGUI)の保護については、最近、国内のお客様のみならず外国のお客様からも相談や出願のご依頼が多く、その反面、現行の制度は柔軟性に欠けると感じます。改正されれば、より効果的なGUIの保護が図れるのではないかと期待します。

また、関連意匠制度の拡充や複数意匠の一括出願が実現すれば、より柔軟に、戦術を駆使して権利化活動を行う事ができるようになると考えられ、こちらも注目度は非常に高いと考えます。

なお、ここまで紹介した意匠制度小委員会での検討とは別に、意匠審査基準ワーキンググループでは、下記の2つを議題として意匠審査基準の改訂に向けた検討が行われています。

  • 創作の実態を踏まえた意匠の適切な開示要件の在り方
  • 意匠審査基準上規定するその他の運用に関する検討事項

2018年9月18日に開催された第13回会合において改訂の方向性は了承され、今後引き続き検討を行い、2018年10月中~11月中頃にパブリックコメントの募集が予定されている模様です(同会合の配付資料参照)。

【出典】
特許庁「意匠制度の見直しの検討課題に対する提案募集について
特許庁「産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会
特許庁「産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会意匠審査基準ワーキンググループ

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