日本特許庁とインド商工省産業政策・振興局は、2018年8月22日に実施された第2回日印知的財産評価会合において、日本とインドとの間の特許審査ハイウェイ(PPH)の試行を2019年度第一四半期に開始することについて大筋合意した。なお、日印PPHの試行を特定の規定された発明分野を対象に試行することが予定されている。ただし、日本特許庁のニュースリリース(出典(1)参照)によれば、今後、インドにおいて特許規則の改正等の手続が必要であるため、現時点でPPH試行の開始は確定していない。

出典(2)のデータによれば、インドにおける特許出願の件数は下表のとおりで、2012~2016年における全出願件数は2.5%の増加と小幅な伸びとなっている。その一方で、同期間における日本からの出願件数は約3割減と大きく落ち込んでいる。

<表:インドにおける特許出願件数の推移>

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
全出願 43,955 43,031 42,854 45,658 45,057
日本から 6,221 5,885 5,338 4,857 4,228

このような推移の一因には、出願から登録までに平均6.3年(出典(3)における2008~2015年のデータ)とも言われている審査期間の長さがあると考えられる。なお、2016年に早期審査制度が導入されたが、「インドが国際調査機関又は国際予備審査機関として指定されている国際出願」又は「出願人がスタートアップ企業」である場合に限られているため、現状、同制度を利用できる日本の出願人は極めて限られている。

インドでは2016年4月に審査官が大幅増員され、2016~17年の審査件数は2015~2016年と比べて72%増の28,967件となり、審査の遅れに改善の兆しが見られるが(出典(4)参照)、今回の大筋合意は、インドにおいて特許出願の審査を急ぎたい場合に活用しやすいオプションが利用可能になる目処が見えてきたという点で朗報と言える。

【出典】
(1)経済産業省/特許庁「日印でPPHの実施に大筋合意しました
(2)世界知的所有権機関(WIPO)「IP Statistics Data Center
(3)Center for the Protection of Intellectual Property / Antonin Scalia Law School, George Mason University「The Long Wait for Innovation: The Global Patent Pendency Problem
(4)インド特許意匠商標総局「Annual Reports: 2016-2017」

【参考】
経済産業省/特許庁「日印特許審査ハイウェイ、首脳会談において来年度第一四半期開始で一致」※2018年10月29日の日印首脳会談において一致した事項として公表されたニュースリリース

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***追記(2018年10月31日)***
【参考】を追加
タイトルの誤記を修正するとともに、試行が特定の規定された発明分野を対象とする予定であることについて記載

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