2018年6月9日施行の改正商標法により、親出願の出願手数料を納付したものに限り、分割出願について出願日を遡及させることになった。施行後、相当数の分割出願を行っていたとみられる大量出願人(出願件数上位2者であるベストライセンス社及び上田育弘氏)の出願行動に変化が生じた。

表1は、出典(1)及びJ-PlatPat「商標出願・登録情報」の検索結果に基づく公開商標公報等の件数推移である。2018年6月以降のデータから明らかなように、改正法の施行後に当該大量出願人名義の件数が激減した。その後、10月に大きく増加したが、出願された商標には、アルファベットと英単語の組み合わせからなるものが多く含まれているほか、テレビ番組、CM等で使用されている単語やフレーズからなるものも認められる。

<表1:公開・国際商標公報の発行件数推移>

公開月 発行件数(※1) ヒット件数(※3) 大量出願人(※3)
2018年4月 17,152 15,589 3,253
2018年5月 20,179 18,566 3,512
2018年6月 17,234 16,344 3,369
2018年7月 17,179 16,017 10
2018年8月 13,700 12,766 35
2018年9月 13,219 12,509 299
2018年10月 17,984 16,732 1,639
2018年11月(※2) 13,982 3,910 9
J-PlatPat検索日(ヒット件数及び大量出願人について):2018年12月4日
※1 「発行件数」は出典(1)に示されている公開商標、公開国際商標及び国際商標の合計
※2 「ヒット件数」及び「大量出願人」の件数は、J-PlatPat「商標出願・登録情報」の検索結果(2018年11月は、2018年11月13日の国内公開まで)
※3 J-PlatPatでは一部未蓄積又は照会不可のデータがあるため、発行件数とヒット件数は一致せず、特に古い公開月における大量出願人の公開商標公報については実際の発行件数との間で開きが生じる
なお、過去分及び最新分のデータは知財ラボで提供されている「公開商標公報 出願人ランキング」で確認することができる

また、出典(2)のデータによれば、表2に示すとおり、商標登録出願件数の前年同期比も改正法の施行前後で変動が大きくなっており、当該大量出願人の出願が件数推移に影響を与えていることが推察される。なお、公開商標公報の発行には出願日から2から3週間程度を要するため、表1と表2の傾向には時間的なズレが認められる。

<表2:商標登録出願件数の推移(2018年4~9月)>

2018年4月 2018年5月 2018年6月 2018年7月 2018年8月 2018年9月
17,519
(▲ 6.1)
17,114
(26.5)
14,284
(▲ 21.6)
14,149
(6.5)
13,673
(▲ 15.9)
14,601
(▲ 10.7)
(  )内は対前年同期比(%)の増減

【出典】
(1)特許庁「公報発行予定表
(2)特許庁「特許出願等統計速報:平成30年9月分」
(3)特許庁「公報に関して:よくあるご質問

【参考】
知財ラボ「2018年公開商標公報 出願人ランキング

【関連記事】
知財トピックス(日本情報)特許庁、「手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について(お知らせ)」を公表 ~一部出願人の大量出願への対応として、拒絶理由通知の記載に関する運用を変更~ 2017-08-07
知財トピックス [特許・不正競争・著作権等/日本]知財関連法改正の審議状況 ~特許・実用新案・意匠「新規性喪失の例外期間延長(6か月→1年)」と商標「分割要件の強化」は、2018年6月9日施行~ 2018-06-05

季刊創英ヴォイス vol. 82 知財情報戦略室:日本および中国の特許・商標関連統計を読み解く 2018-04-01

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。