下図は、2013~2017年の5年間における特許査定率の推移をグラフで示したものです。大きな変化が認められるのが2015~2017年の3年間で、日本では5.2ポイント、欧州では9.1ポイント上昇しています。

その一方で、韓国では2016年に60.0%まで低下し、2017年は上昇に転じて63.1%となっています。また、米国では同3年間で1.3ポイント上昇の71.9%と概ね横ばいです。

なお、中国は、2017年のデータのみが示されており、欧州よりも低い56.4%となっています。

〈図:IP5における特許査定率〉

IP5における特許査定率(2013-2017)※クリックすると拡大表示できます
  • 特許査定率(grant rate)の算出方法は庁によって異なり、各庁が採用している定義は【出典】のこちら(PDF)にまとめられています

特許査定率が大きく上昇した日本と欧州について他のデータも見てみると、特許査定率の上昇のほかに最終処分までの平均期間が2か月程度短縮された点でも共通しています。しかしながら、異議申立期間(日本=特許掲載公報発行の日から6月以内、欧州=特許付与の公告から9か月以内)に起因するタイムラグを考慮する必要はあるものの、2016年及び2017年において異議申立率の上昇は認められない(欧州は低下している)ことから、異議申立ての観点からは審査の質への影響は見受けられませんでした。

〈表:日欧における登録件数及び異議申立件数の推移〉

2015年 2016年 2017年
日本 最終処分までの期間 16.5か月 14.6か月 14.1か月
特許査定率 69.4% 75.8% 74.6%
異議申立率 0.2% 0.6% 0.6%
欧州 最終処分までの期間 26.9か月 26.5か月 24.9か月
特許査定率 48.0% 54.8% 57.1%
異議申立率 4.4% 4.0% 3.7%
  • 各数値の算出方法は庁によって異なり、各庁が採用している定義は【出典】のこちら(PDF)にまとめられています

【出典】
Five IP offices「IP5 Statistics Report 2017 Edition」※引用した各データは報告書本文のほか、リンク先で提供されている「Statistical Tables」のExcelファイルにおける「Statistics on procedures」のシートから確認可能

【参考】
日本特許庁「PPHポータルサイト:統計情報」※特許審査ハイウェイ(PPH)参加国の一部について、PPHを利用した場合の特許査定率等の情報を確認可能

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vol. 82 知財情報戦略室:日本および中国の特許・商標関連統計を読み解く(PDF) 2018-04-01 ※日中における特許出願件数の動向のほか、日本における特許査定率の推移を紹介した記事
vol. 83 知財情報戦略室:特許出願の早期権利化手段と審査の国際的な取り組みについて(PDF) 2018-08-01

***更新情報(2019年1月30日、31日、2月8日)***
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【出典】における算出方法の説明へのリンクを追加し、本文の一部を修正

***更新情報(2019年2月25日)***
日本特許庁ウェブサイトのURL変更にあわせて、【出典】のリンク先を変更

***更新情報(2019年4月3日)***
【出典】における算出方法の説明へのリンクを修正

 

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