意匠法施行規則等の改正が2019年5月1日に施行された。

今回の改正の趣旨は「願書や図面の記載要件の緩和」である。この点は、1月10日から適用されている改訂意匠審査基準の主な趣旨とも共通する。審査基準の改訂のみで対応できる内容は適用が開始されている審査基準で対応しているが、規則等の改正が必要な点に関して4月26日に省令が公布され、5月1日に施行された。なお、別報画像保護や関連意匠制度の拡充等は2019年5月17日公布の意匠法改正(令和元年5月17日法律第3号)の内容であり、これらは整理して理解する必要がある。

○一組の図面に係る要件の緩和
従来は、いわゆる6面図(正面、背面、平面、底面、右側面、左側面)を原則として提出する必要があったが、改正により、図面数に拘らず、意匠の創作の具体的な内容を特定できれば、意匠が適切に開示されたものとして取り扱われることになる。

また、部分意匠の表し方については、意匠登録を受けようとする部分(権利請求部分)とその他の部分(権利不請求部分)のいずれをも含むときに、実線と破線で描き分ける等により特定しなければならない旨に変更される。例えば出願図面に背面図が含まれていない場合は、対称であるため背面図が省略されている場合等を除き、背面部は権利不請求部分として取り扱われる。同内容を示すため、4月26日に審査基準の改訂が公表された。

○意匠登録を受けようとする物品以外の記載
権利請求部分と権利不請求部分とが明確に描き分けられている場合やその旨が願書の【意匠の説明】の欄に記載されている場合は、登録を受けようとする物品以外のものを図面に記載することが可能となる。例えば、衣料品をトルソーに着せた状態の写真で出願する場合、トルソーを削除加工する必要はなくなる。

○中間省略の記載方法の緩和
意匠の一部を省略して図示する場合に、中間を省略する図法であることが明らかである場合は、現行制度で規定されている以外の記載方法を認める。例えば、改訂後の意匠審査基準の16頁(第2部 意匠登録の要件 第1章 工業上利用することができる意匠(PDF))では、下図のような省略方法が「連続状態が明らかに分かるものの例」として示されている。

連続状態が明らかに分かるものの例2

○願書の部分意匠の欄に係る規定の見直し
意匠登録出願の願書及び意匠原簿に部分意匠の欄を設けなければならないとする規定が廃止された。なお、部分意匠制度が無くなる訳ではなく、前記の通り、権利不請求部分を破線で表す等が可能である。あくまでも、「部分意匠の欄」の表記という形式的な要件を緩和・廃止することが狙いである。

【出典】
(1)特許庁「意匠法施行規則及び意匠登録令施行規則の一部を改正する省令(平成31年4月26日経済産業省令第49号)
(2)特許庁「意匠法施行規則及び意匠登録令施行規則の一部を改正する省令に対する意見募集結果について
(3)特許庁「意匠法施行規則及び意匠登録令施行規則の一部を改正する省令案に対する意見募集について
(4)特許庁「意匠審査基準の一部改訂について(平成31年4月26日)」※「今回の改訂箇所の参照資料(PDF)」等が提供されている
(5)特許庁「意匠審査基準
(6)特許庁「願書の【部分意匠】の欄の記載が不要となります

【参考】
特許庁「特許法等の一部を改正する法律(令和元年5月17日法律第3号)
特許庁「平成30年度意匠制度の改正に関する説明会資料」※令和元年5月17日法律第3号による改正よりも前の法改正及び運用変更(本稿で紹介したものを含む)についての説明資料

【関連記事】
知財トピックス [意匠/米国]立体物について、1図のみでも図面の開示要件を満たす旨のCAFC判決 2018-11-05
知財トピックス [意匠/日本]意匠審査基準改訂の方向性 ~意匠法改正を伴う制度見直しについては意見募集を別途に実施~ 2018-12-20
知財トピックス [特許・意匠・商標・著作権・不正競争/日本]知的財産権訴訟の近況と今後 ~「証拠収集」関連及び「損害賠償額算定」関連を含む特許法等の一部改正案が閣議決定される~ 2019-03-05
知財トピックス [意匠/日本]意匠法の一部改正の法案について ~画像デザインの保護拡充、空間デザインの保護拡充、関連意匠制度の拡充、複数意匠一括出願等が改正へ~ 2019-04-22

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。