日本の特許審査等において審査官とのインタビュー(面接)は、出典1において「審査・審理に関わる意思疎通を図る上で重要な役割を果たしており、これまでも審査・審理の効率性及び的確性の向上等の面から有効に活用されてきました。」との説明があるように、出願人と審査官の双方にとって有益なものとなっている。

これは米国の特許審査においても同様で、米国特許商標庁(USPTO)ウェブサイトの「Interview Practice」(出典2)に掲載されている「FAQs on Interview Practice(以下、単にFAQsという)」では、USPTOも審査官インタビューは審査の効率性及び的確性の向上等に資するものであると認識していることがわかる次のような質問と回答が示されている(以下の引用はいずれも参考訳)。

通常、インタビューの申込みは認められますか?
・はい。インタビューの申込みは、適切な時期かつ方法と日程について双方が合意できるときは、通常認められます。MPEP 713.05及びMPEP 713.10参照

どの段階でインタビューの申込みをすべきですか?
・最も生産的なインタビューとなるいくつかの場面としては、実体審査に関する最初のアクション(拒絶理由通知)後に双方が先行技術を考慮する機会を持った時点があります。しかしながら、インタビューの申込みに悪い時期はありません。インタビューが問題を解決し、更なる審査の助けとなる時にはいつでも、審査官はインタビューをすることが奨励されます。MPEP 713.05及びMPEP 713.10参照

このFAQsでは、上記2つを含めて全部で29の質問と回答(2019年7月時点)が示されており、例えば、インタビューの事前準備については次のような説明がある。

インタビューの間に補正案を議論できるように準備しておくべきですか?
・はい。出願人の代理人は、インタビューの前に発明及びすべての関連性のある問題を議論し、出願人の同意及び/又は少なくともインタビューの間に起こりうる合理的に予測可能な提案の範囲で交渉する権限を得るために出願人と相談すべきです。

ここで、「合理的に予測可能な提案の範囲で交渉する権限」を現地代理人に事前に与えておくことは重要である。なぜならば、インタビューでは審査官の反応に応じて、その場で補正案が調整されるような場面もあるため、十分な権限を与えずに案からの軽微な変更にも同意前の報告を必須にしてしまうと、審査官との間で議論が円滑に進まなくなる恐れがあるからである。

また、インタビューの事前準備に関連するところではFAQsには次のような説明もある。

したがって、短い時間で効果的な議論を行うことができるように、補正案の提示を行うときはもちろん、現状のクレームを維持することを希望する場合も、議論を希望する引例、拒絶等の詳細を現地代理人に予め連絡し、優先的に議論すべき点を調整しておくことが大切である。

また、補正案や議論の詳細について出願人自らがその場で関与することを希望する場合には、テレビ会議を利用することも検討に値する。実際、弊所ワシントンD.C.オフィス支配人がUSPTO審査官と意見交換した際には、「時差と言語の問題に対応できる場合、テレビ会議を用いて日本から参加することに気になる点はない」との回答を得ている。

最後に、最終拒絶(Final Rejection; Final Office Action)後のインタビューに関するFAQsを紹介する。

最終拒絶後にインタビューは可能ですか?
・通常、最終拒絶後に1回のインタビューが認められます。しかしながら、インタビュー前に、意図された目的とインタビューの内容が簡潔に、好ましくは書面で示されるべきです。そのようなインタビューは、わずかな更なる考慮のみで、処分又は審判のための明確化が達成できると審査官が確信している場合に認められます。単に、記録にある議論を言い直すためや、わずかな再考慮以上のこと又は新たな調査が必要となるような新たな限定を議論するためのインタビューは却下されます。MPEP 713.09参照

この説明では直接的な言及はないが、AFCP 2.0の要件を満たす応答(特に、独立クレームの補正)を予定している場合には、AFCP 2.0の申請を伴う形で最終拒絶への応答を行い、審査官が特許できないと判断した際にインタビューが求められることを待つのも一案と考えられる。

なお、出典2ではFAQsの他にも、審査官インタビューに関する動画等も提供されており、効果的な活用法を知るための参考とすることができる。

【出典】
(1)日本特許庁「面接ガイドラインの改訂について
(2)米国特許商標庁「Interview Practice
(3)米国特許商標庁「Manual of Patent Examining Procedure (MPEP)
(4)米国特許商標庁「After Final Consideration Pilot 2.0 (AFCP 2.0)

【参考】
Patent Bots「Patent Examiner Statistics」※審判(Appeal)関連は有料だが、特許に関して審査官別・Art Unit別の統計データを無料で参照できる
BigPatentData「Examiner Statistics」※インタビュー関連は有料だが、特許に関して審査官別・Art Unit別の統計データを無料で参照できる

季刊創英ヴォイス vol. 78 あなたは知ってる!?特許豆知識 [第5回]米国における審査官データベースの活用 (PDF) 2016-12-01 ※2019年8月現在、この記事で紹介している「Examiner Ninja」にアクセスしようとするとセキュリティ警告が表示される

日本特許庁「諸外国の法令・条約等特許審査便覧第700章(PDF)」※2019年7月時点での最新版である「Ninth Edition, Revision 08.2017」の訳ではないが、本文中で参照しているMPEP 713.05等(PDF)の日本語仮訳

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***更新情報(2019年8月27日)***
【参考】に「Examiner Ninja」に関する情報を追加

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