ユーラシア特許庁は9月9日、カザフスタンの首都であるヌルスルタン(旧名:アスタナ)で、ユーラシア特許制度25周年記念式典を開催するとともに、これまで発明の保護に限られていた同庁の機能を、工業意匠の保護まで拡大するための議定書の調印式を行った。

ユーラシア特許制度は、ロシアのモスクワにあるユーラシア特許庁に特許出願して審査を受け、許可されれば、締約国全てで有効な特許権が一括で付与される制度である。欧州特許制度のようなバリデーションは必要ない。ユーラシア特許庁に締約国ごとの年金を支払うことで、各国で特許権を維持できる。特許権の維持が不要な国については、その分の年金を支払わないことで権利が消滅する。締約国は、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの8か国である。

調印式では、ベラルーシ、タジキスタン、トルクメニスタンを除く5か国がこの議定書に署名したことで、発効に必要な加盟国数(3か国)を上回った。今後、これら署名国で批准・通知作業が進み、3か国目の批准・通知作業が終了した後3か月で正式に発効する。今のところ、2020年中には発効するのではと言われている。

特許と同様に、一つの意匠出願をユーラシア特許庁に行って許可になれば、締約国全てで有効な意匠権を得られるようになる。ユーラシア意匠権の権利期間は出願から5年であり、更新を継続することで最大25年まで権利を保持できる。

なお、現在、ユーラシア商標制度についても合意書の検討がなされている。合意書案では、ユーラシア経済連合(EAEU)に加盟しているいずれかの国(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)において出願され登録された商標は、EAEU域内において同時に有効となる。合意書案は、特許や意匠の場合と違って、加盟国の商標庁を統一しようとするものではなく、審査は出願された国の商標庁が行い、これに他の加盟国が協力する形となる。複雑な仕組みであり、合意までにはまだまだ時間を要するものと思われる。

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