米国意匠の権利範囲の解釈において重要な判決がCAFCより出された。事件は、USD677,946号(以下、946意匠)の意匠権者であるCurver Luxembourg社が、Home Expressions社が実施している製品について、意匠権侵害であるとしてニュージャージー州地裁に訴えていたものの、控訴審である。

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946意匠は、そのClaim欄に、「The ornamental design for a pattern for a chair, as shown and described.」と記載して登録を受けており、Titleも「Pattern for a chair」である。すなわち、日本流にいうと、物品名を「椅子の模様」として登録を受けている。

一方、Home Expressions社の実施品は「かご」であった。

争点は、「たとえ図面においては描かれていなかったとしても、クレームにおいて特定した物品が権利範囲を限定するか」についてである。この点、CAFCは「物品について図面には例が挙がっておらず、クレーム文言が物品についての唯一の例を提供する場合は、クレームの文言は権利範囲を限定しうる。」と判示し、椅子の模様に係る意匠権はかごには及ばないとする地裁の判決を支持して、意匠権侵害ではないと結論付けた。

理由としては、特許法171条において、意匠は「製造物品のための新規で独創的かつ装飾的な意匠」と定義されており、単なる「デザイン」ではないこと、また、出 願 経 過 において、Curver Luxembourg社が物品名を「a pattern for a chair」に補正していたことも参酌された。

これまで、MPEPにおいて、「Titleはクレームの範囲を定めるものではない」(MPEP第8版1503、現行版の記載は変更になっている)の記載もあったことから、米国意匠においては、物品名は権利範囲に影響を与えないのではないか、と言われており、論点の1つだったが、今回の判決で論点が明確になった。

一方、判決から読み取るに、物品名に包含されるような様々な具体例を図面に含んでおくことも、広く多面的な権利の取得のために有効な場合があると思われる。紙面の都合で紹介できないが、例えばUSD657,093号などは、そのような手法をとった登録例と言える。ご興味があれば参照頂きたい。

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