1 はじめに
総務省の公開する情報通信白書平成30年度版によれば、日本におけるインターネットの普及率(個人)は80.9%です。企業にとって、自社のウェブサイトにおいて自社製品又はサービスの魅力を紹介することは、極めて重要な広告手段といえます。そのような中、「メタタグ」「検索連動型広告」という態様で、競合他社の登録商標等を使用する行為は、商標権に抵触するものではないか、という議論がなされております。

今回はこの2つについての議論を取り上げたいと思います。

2 メタタグ
「メタタグ」とは、HTML文書のhead要素に配置されるタグであり、ページを記述している言語や文字エンコーディングを指定したり、キーワードや説明文などを記述したりするものです。メタタグはhead要素内の記述ですので、ウェブページ上には表示されず、商標権との関係を考えるうえでは、この点に特徴があるといえます。「メタタグ」の中にも種類があり、ページを表す代表的なキーワードを掲載するキーワードメタタグや、検索サイト上で、結果のタイトル下に表示されるページの要約文である、説明メタタグなどがあります。

メタタグについては、「クルマの110番」事件があります(大阪地判 平成17年12月8日判時1934号109頁)。この事案において、原告は「中古車の110番」及び「中古車の119番」の文字商標の商標権者です。被告は、自社の運営するウェブサイトにおいて、そのサイトのトップページを表示するためのhtmlファイル に、説 明 メタ タ グ として、「<meta name=“description” content=“クルマの110番。輸入、排ガス、登録、車検、部品・アクセサリー販売等、クルマに関する何でも弊社にご相談ください。”>」と記載していました。インターネットの検索エンジンの1つであるmsnサーチの検索結果において、被告ウェブサイトのトップページの説明として、先ほどの記述が表示され、その冒頭に「クルマの110番」という表示がありました。裁判所は、「インターネット検索サイトの1つであるmsnサーチにおける、被告サイトのトップページの説明は・・・というものとなっており、本件標章1がその冒頭に位置していることに照らせば、本件標章1は、被告会社の役務について、これを表すものとして使用されているものと認めることができる。」「一般に、事業者が、その役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は、その役務に関する広告であるということができるから、インターネットの検索サイトにおいて表示される当該ページの説明についても、同様に、その役務に関する広告であるというべきであり、これが表示されるようにhtmlファイルにメタタグを記載することは、役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為にあたるというべきである。」として、商標権侵害を肯定しました。

判決の射程としては、「msnサーチの検索結果において・・・表示され、その冒頭に・・・」と判断理由から、これらの事情が当てはまらない場合には、商標権侵害ではないと解される余地があり、メタタグとして使用が一概に商標権に抵触すると考えるのは困難と考えられます。例えば、キーワードメタタグ(現在のGoogleの運用ではSEOに貢献しないとされています)については、検索結果に表示されないため、商標権侵害ではない可能性があります。

3 検索連動型広告
「検索連動型広告」とは、検索エンジン運営会社がインターネットユーザーに対して広告宣伝をしたい企業との間で、ユーザーが入力した検索のキーワードに連動して、リンク表示を含めたバナー広告を表示するよう有償で契約する広告宣伝方法のことを言います。日本では、この点に関する裁判例はまだありませんが、海外において大問題になっています。

例えば、米国では、コンピュータ修理会社のRescuecomが「Rescuecom」の検索語が入力された際に、Rescuecomの競合会社の社名が表示される広告を販売したことを理由に、商標権侵害としてGoogleを訴えた事案では、第一審ではRescuecomの訴えは退けられましたが、控訴審において、消費者の混乱を招く可能性が高くなったという理由で、Rescuecomの訴えは適切だと判断しました。

4 おわりに
このように、メタタグと検索連動型広告においては、十分な先例があるとはいえない状況です。そのためメタタグや検索連動型広告のようなインターネット上での商標の使用については、法務リスクの判断が困難でもあります。検索エンジン運営会社のガイドラインが機能しているため、日本では権利者との関係で問題にはなりにくいかもしれませんが、海外における紛争も念頭におき、適切な管理及びリスクの管理を考えたいところです。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。