欧州特許庁審判手続規則が2020年1月1日に改正された。この改正は、2020年1月1日以降に請求される審判だけでなく、既に係属している審判にも適用される。主要な変更点を下記に列挙する。

第11条:第一審への差戻し
審判部と第一審(審査部・異議部)との間で事件が行き来するピンポン現象を減らすため、特別な理由が無い限り事件を第一審へ差し戻さずに、審判部が最終決定を行う。

第12条:審判手続の基礎
第1項第1号で、第一審の口頭審理の議事録も審判での審理の基礎とする旨が明示された。第一審の段階で口頭審理の議事録を確かめ、正確に当事者の主張を反映しているか確認する必要がある。

第4項では、第一審で提出されなかった請求、事実、理由、主張、証拠の審判段階での提出は「審判事件の補正」とみなされ、現状よりも厳しく制限される。当事者は、補正する場合はその内容を明示し、理由を提示する必要がある。補正を容認するか否かは審判官の裁量による。

第13条:当事者の審判請求後における補正
審判理由又はそれに対する応答を提出した後は、新たな請求などの追加は難しい。口頭審理の召喚状の通知後などにおける補正は、原則として考慮されない。

欧州特許庁では、2018年10月時点で9,200件弱の審判事件のバックログが存在している。現状、4年ほどかかっている審理期間を、今後5年以内に30 ヶ月以内に縮める(90%のケースで)ことを目標としている。

審理迅速化に伴い、審判段階での補正、証拠、主張などの提出はより厳しく制限される方向に進むため、第一審(審査部・異議部)で十分に補正、証拠、主張などを提出しておくことが必要となる。

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