欧州特許庁(EPO)は2020年1月27日、人工知能(AI)を発明者とする2件のEP特許出願(EP18275163及びEP18275174)を却下した。

これら出願に係る発明は、DABUS(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience)と呼ばれるAIにより発明されたとして出願されており、前者はフラクタル形状を有する「食品を包装する包装容器」に関するものであり、後者は特別に制御された光を発することで「より注意を引くための装置及び方法」に関するものであった。

EPOは、欧州特許において指定される発明者は自然人でなければならないため、AIであるDABUSを発明者とするこれら出願は法の要件を満たさないとして却下した。却下決定については、上訴して審判で争われる可能性が高いと思われる。

なお、これらEP特許出願に対応する出願が、英国、米国、イスラエルでも出願されている。英国ではEPOと同様に発明者が自然人でないということで出願が却下されている。現在、英国で特許裁判所に上訴されており、裁判所の判断が待たれるところである。現在の法律では、発明者は自然人でなければならないというのは各国で共通の認識事項である。米国やイスラエルにおいても、同様に却下されるものと思われる。

なお、今回の出願は、是が非でも権利化を目指すというものではなく、むしろ問題提起とDABUSの宣伝を兼ねてなされたものであるというのが大方の見方である。

今回の事件で留意すべき点は、AIを発明者としたのが問題なのであって、AIによってなされた発明自体の特許性を認めないというものでは無いことである。今後も純粋にAIによって生み出される発明は増えてくると思われるが、このような場合、発明者をどうすべきなのか?現状では明確な指針は無いため、立法や判例での解決が待たれる。「AIによる創作に関与した者」として、AIを学習させた者とか、AIに解決させる課題を提供した者などは、発明者となり得るのかもしれない。

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