1 はじめに
筆者は、特許庁に所属していた2006年に旧司法試験に合格し、その後も特許庁で審査審判の実務を続けた。この間、東京地方裁判所調査官及び東北大学大学院法学研究科教授に出向し、2019年7月に特許庁を退職した。そして、創英入所後、2019年12月に弁護士資格認定を受け、2020年2月に弁護士登録を受けた。

ここでは、自己紹介も兼ねて、弁護士資格認定制度について説明したい。

2 制度の概要
弁護士となる資格を得るには、原則として、司法修習生の修習を終えなければならない(弁護士法4条)。

しかし、司法試験に合格等した後法定の経験を積み、さらにその後法務大臣の指定する研修の課程を修了したと、法務大臣が認定したときは、弁護士となる資格が得られるという特例がある(弁護士法5条)。

ここでいう、法定の経験とは、弁護士法5条1号から4号に規定されているものであり、次項で説明する。

弁護士資格認定制度は、司法試験合格後に、社会経験を積み、その経験を生かして弁護士として活動し、多様な背景を持つ人材を法律専門家として社会に供給できるという点で、非常に有用な制度といえる。

3 経験要件について
弁護士資格認定を受けるために必要な法定の経験のうち、主なものを以下にあげる。

①司法修習生となる資格を得た後、すなわち司法試験合格後に簡易裁判所判事、検察官、裁判所調査官、裁判所事務官、法務事務官又は法律学を研究する大学院の置かれている大学の法律学を研究する学部、専攻科若しくは大学院における法律学の教授若しくは准教授の職に在つた期間が通算して5年以上になること(弁護士法5条1号)。

②司法修習生となる資格を得た後、すなわち司法試験合格後に自らの法律に関する専門的知識に基づいて次に掲げる事務のいずれかを処理する職務に従事した期間が通算して7年以上になること(弁護士法5条2号)。

イ 企業の使用人その他の従業者として行う当該企業の事業に係る事務であって、契約書案の作成、裁判手続のための証拠の収集、裁判手続において提出する訴状、申立書、答弁書、準備書面の案の作成等

ロ 公務員として行う国又は地方公共団体の事務であって、法令の立案、条約その他の国際約束の締結に関する事務又は条例の制定若しくは改廃に関する議案の審査若しくは審議、裁判手続のための証拠の収集、裁判手続において提出する訴状、申立書、答弁書、準備書面の案の作成等

筆者の場合は、上記①の経験要件を満たしたものである。企業の従業員の方や公務員の方は、上記②の経験要件を検討できる。

4 指定研修の修了
弁護士資格認定を受けるには、さらに、法務大臣の指定する研修(指定研修)の課程を修了しなければならない。

指定研修は、日本弁護士連合会が実施するもので、約1か月半の間に、研修生は、民事弁護、刑事弁護等を学び、訴状や弁論要旨等を起案するとともに、法律事務所に派遣されて実務研修を受ける。

短期間に充実した研修が行われ、研修期間中は集中して取り組む必要があることはもちろん、研修期間前にも十分な準備が必要なものである。

筆者は2019年8月から10月にかけて実施された指定研修を修了した。

5 さいごに
司法修習制度と比して、弁護士資格認定制度は、周知度が低く、筆者としては、自己のバックグラウンドを知っていただきたいという思いがあり、この場をお借りして、弁護士資格認定制度を紹介させていただいた次第である。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。