特許無効審判事件は、原則として全件口頭審理が実施されるが、一度の口頭審理では当事者の主張が十分に尽くされず、再度争点整理を行わざるを得ないという課題があった。そこで、令和2年4月から「計画対話審理」の試行が開始された。

計画対話審理では、非公開の口頭審尋*1を複数回開催することで審理が進められる。

〈図:複数回の口頭審尋を経て審決(又は審決の予告)に至るモデル(赤矢印)の例(出典より引用)〉
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これにより、審理の早期の段階において十分な主張・立証の機会を確保できることとなり、上述した課題を解消し得る。口頭審尋では、合議体に対して直接口頭で説明可能であるが、率直な議論を促すべく、ノン・コミットメント・ルール*2に沿って実施されることとなっている。

なお、必要であれば、合議体は事前に審尋事項を書面で通知するため、当事者は、審尋に対する正式な回答等を口頭審尋後の指定された日までに書面で提出することとなる。

さらに、第1回口頭審尋においては、審判長は当事者と協力して審理計画を策定するため、当事者は審理終結までの見通しを持つことが可能になるというメリットもある。

本試行の対象事件は、原則として、令和2年4月1日以降に計画対話審理の申出のあった特許無効審判事件とされている。試行件数が上限に達した場合、試行を終了する場合がある。また、試行の結果を踏まえ、計画対話審理の本格実施に向けた検討が行われるとされている。

*1:請求人、被請求人及び合議体の三者が集まった場で、合議体が、当事者に対し口頭により審尋を行うこと。
*2:口頭審尋における当事者の発言のうち、記録されないものについては、当該事件において当事者が主張したことにはしないというルール。両当事者の発言については、合議体が必要と判断した場合に、両当事者の合意をとったうえで記録。

【出典】
日本特許庁「特許無効審判における複数回の口頭審尋を活用した「計画対話審理」の試行について

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