産業構造審議会の特許制度小委員会より、報告書「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方ー中間とりまとめ(案)ー」が出された。同委員会では現行の特許制度がAI・IoT技術の時代に対応できているか審議され、一般からの提案や意見も踏まえて、今後の特許制度の見直しの議論の方向性を提言する形で報告書がまとめられている。報告書では、下記8つの項目が取り上げられている。

  1. AI技術の保護の在り方
  2. DX時代におけるデジタル化・ネットワーク化への対応
  3. プラットフォーム化するビジネスへの対応
  4. 特許権の実効的な保護のための関連データの取扱い
  5. 円滑な紛争処理に向けた知財紛争処理システム
  6. 紛争形態の複雑化への対応
  7. 中小・スタートアップが知財を活用しやすい環境整備
  8. 特許の活用方法の多様化への対応

ここでは項目1-4について言及する。まず1について、AIアルゴリズム自体に特徴があるAIコア技術については、特許権によってさらに保護を強化する必要性に乏しい一方で、AIに学習させるためのデータなどAI関連発明に関連するデータの保護については、重要な課題であると位置づけされている。

2について、①複数の実施主体が関与する場合、②サーバーの一部が海外に置かれているような場合の権利行使については、クレームの書き方を工夫したり、裁判所による柔軟な解釈により解決できたりするのではということで、直ちに制度を見直すのではなく裁判所の判断を見守る方向性が出されている。

3について、プラットフォーム型ビジネスでは特許に係る発明の利用と、実際の収益(有料サービスへの課金や広告収入等)との関係性は薄く、特許権の侵害行為が認定できたとしても損害額をどこまで認定できるか明らかでなく、また物の譲渡を前提とする特許法102条1項の逸失利益の算定方法では、ビジネスの中心が「モノ」から「コト」へとシフトしている現状で柔軟な逸失利益の算定ができないという問題提起がされている。

4について、AIに学習させるためのデータや3Dプリンタ用データ等をどう保護していくか、直接侵害として位置づけるのか、間接侵害として位置づけるのか、データの利用促進に悪影響を与えないよう不正競争防止法では限定提供データの適用対象を絞ったこととのバランスも踏まえて議論されている。

AI・IoT技術の進展に伴うビジネス環境の変化により特許制度が様々な課題に直面している中で、時代に即した制度の実現が待たれる。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。