長らく大きな注目を集めてきた「Booking.com」商標の登録可否について、2020年6月30日に識別性を認める最高裁判決が出されました。

■米国の識別性に関する判断基準
米国での識別性の判断は、①一般名称、②記述的商標、③示唆的商標、④恣意的商標、⑤空想的商標の5段階に分類され、③以上は識別性があると判断されます。②は使用による顕著性が認められた場合のみ登録が認められますが、①については登録可能性がないため、①か②のいずれに該当するかは大きな差となります。また、コモンロー時代の最高裁判決にて、商品・役務の一般名称と会社の種別名称を組み合わせた「〇〇  INC」のような商標は①に該当すると判示されており、本件の審査・審判でも同様に判断されました。

■事件の経緯
2006年から世界中でサービスを提供してきた原告は、2011年に米国でBooking.com商標を出願しましたが、審査・審判では、消費者は宿泊予約サービスとの一般名称と認識するため、①一般名称に過ぎないとして拒絶されました。

しかしながら、原告が拒絶査定の取消を求めて、連邦地裁に訴訟を提起し、消費者調査の結果を証拠として提出したところ、「Booking.com」は②記述的商標であり、使用による顕著性も獲得しているとして、登録可能性を認めました。この判決に対して、米国特許庁は控訴しましたが、控訴審でも登録可能性が認められたため、最高裁判所へ上告しました。

■最高裁判決
まず、1つのドメイン名を占有できるのは1つの事業体のみであるため、「〇〇 INC.」等と同様に考えることに誤りがあると指摘しました。また、「〇〇.com」が一般名称かどうかは、消費者が実際に一般名称として認識しているかどうかにかかっているとし、本件では消費者調査の結果から一般名称ではないと判断しました。

■今後への影響
「Booking.com」の登録が認められたからと言って他社が「Booking」の語を使用できなくなるわけではありません。また、「〇〇.com」が商標登録されるには、使用による顕著性の証明が必要であり、依然として登録が容易でないことに変わりはないようです。今回の最高裁判決を受けて、「〇〇.com」に限らず、識別性のない語を組み合わせた商標が一般名称かどうかの判断には、消費者の認識を調査した証拠資料の存在がこれまで以上に重要になってくると思われます。

【出典】
アメリカ合衆国最高裁判所「USPTO. v. BOOKING.COM B. V.」(PDF)

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