メキシコでは、新産業財産保護法(以下、新法)が、2020年11月5日より施行された。この新法には、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)締結に伴うものが含まれている。以下、特許法、実用新案法に関連するポイントを紹介する。

A. 用途発明(新法45条I)
発明の定義において、先行技術に含まれる物質、化合物、又は組成物であっても用途として新しい限り(用途発明)、特許性は否定されないことが明記された。

B. 新規性喪失の例外の適用範囲拡大(新法52条)
新規性喪失の例外は、第三者が直接的または間接的に発明者等から情報を知得した場合の開示行為にも適用されることが明記された。ただし、他国の特許庁等による公表は含まれない(他国の特許庁等の過誤によって出願内容が公表された場合や冒認出願の場合を除く)。

C. 特許権の効力の制限(新法57条)
特許権の効力は、第三者が薬事承認に必要な試験等を行う行為には及ばない(いわゆるボーラー条項)旨が明記された。

D. 実用新案権の存続期間の延長(新法62条)
実用新案権の存続期間が出願日から15年に延長された(従来は10年)。

E. 分割出願(新法100条、102条)
分割出願について以下の点が明記された。
①分割出願では、分割出願の原出願とは異なる主題を含まなければならない。
②メキシコ産業財産庁(Mexican Institute of Industrial Property(以下、IMPI))が単一性違反により分割することが適当と認めた場合を除き、分割出願に基づく分割出願をすることができない。
③特許出願がIMPIに係属している間(許可通知後は、その日から2カ月以内)は、自発的に分割出願することができる。

F. 特許期間調整の制度の導入(新法126条~ 136条)
IMPIの処理に不合理な遅延があり、出願から特許権の付与までの期間が5年以上となった場合、特許権者の申請により5年を限度として、特許権の存続期間が調整され得る制度(Patent Term Adjustment)が導入された。

【出典】
メキシコ連邦官報「DECRETO por el que se expide la Ley Federal de Protección a la Propiedad Industrial y se abroga la Ley de la Propiedad Industrial.」

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