発明や考案、意匠において自己の行為に起因する新規性喪失の例外規定(特許法第30条第2項(実用新案法第11条で準用)、意匠法第4 条第2 項)の適用を受けるためには、出願から30日以内に適用を受け得ることを証明する証明書を提出する必要がある。これまで、当該証明書には出願人全員の記名押印又は署名が必要であった。

しかし、2020年7月17日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、押印を求める手続について見直しを行うこととされている。また産業構造審議会においても申請手続等のデジタル化(紙・押印の原則廃止)による利便性向上を目指すとされている。これを受け、特許庁は2020年12月16日、特許・実用新案審査基準を改訂し、当該証明書における押印及び署名を廃止した。一方、記名は引き続き必要であるが、出願人のうち少なくとも1人の記名で足りる。

既に出願済みの出願において今後証明書を提出する予定であった場合も、押印及び署名は不要で、出願人1人の記名があればよい。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により押印又は署名ができないため、押印又は署名のない証明書を期間内に提出している場合、証明書に記名があれば、押印又は署名をした証明書を追って提出する必要は無い。

なお、特許・実用新案審査ハンドブックも改訂され、実験成績証明書への押印も不要となった。

一方、商標においては商標審査便覧が改訂され、押印等を求めている手続における押印等が廃止された。具体的には、①商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について(41.100.03)、②出願人の支配下にあると実質的に認められる者の業務に係る商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の取扱い(41.100.05)、③第4条第1項第8号に関する承諾書の取扱い(42.108.01)、④出願人と引用商標権者に支配関係がある場合の取扱い(42.111.03)、⑤商標法第8条第5項に規定するくじの取扱い(44.01)、⑥国若しくは地方公共団体等又は公益的事業等を表示する標章に関する情報提供について(89.02)、⑦博覧会の賞に関する情報提供について(89.03)、における押印等が廃止された。

なお、商標早期審査・早期審理ガイドラインも改訂され、国際登録出願の意思に関する宣誓書で求めていた押印も不要となった。

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