1.インドと日本との間のPPH
インドと日本との間では、3 年間のパイロットプログラムとして、2019年12月5日より特許審査ハイウェイ(PPH)が運用されているが、インド特許庁(IPO)は、2020年12月7日より2年目のPPH申請の受付を開始した。

申請可能件数は、年間100件までで変わらず、1出願人あたりの申請件数上限も年間10件まで(共同出願の場合も含む)と変更は無い。

申請可能な出願の技術分野も、電気、電子、コンピュータサイエンス、情報技術、物理、土木、機械、繊維、自動車、冶金に限られる点に変更は無い。

なお、1年目は多くのPPH申請が却下されており、当初申請された100件のうち、44件の申請が却下されている。これは、インドへのPPH申請の要件の一つに、「PPH申請された出願が審査官に割り当てられていない」という要件があったことも影響している。これに関し、2020年11月より、IPOにより提供されるウェブサイト「inPASS」を利用することで、審査官への出願の割り当て状況をリアルタイムに確認できるようになった。したがって、PPH申請を行う前に割り当て状況を確認することで、PPH申請受理に関する予見性が高まることが期待される。

2.フランスと日本との間のPPH
日本特許庁(JPO)とフランス特許庁(INPI)は、2020年11月26日付で特許審査ハイウェイ(PPH)を開始することに合意し、2021年1月1日より運用を開始した。

これにより、日本で特許可能と判断された出願については、出願人の申請により、フランスにおいて簡易な手続で早期審査を受けることが可能になる。

なお、フランスには特許協力条約(PCT)から直接フランス移行出願を行うことができず、欧州特許条約(EPC)を使って欧州特許庁(EPO)で審査を受ける必要がある。したがって、今回のPPHの対象となる主な出願は、日本出願に基づいて優先権を主張して直接フランスに出願した特許出願ということになる。

なお、フランスでは、知財法に対する大幅な改正(PACTE Law、2019年5月22日公布)が行われ、2020年5月22日以降に出願されたフランス特許出願については、これまで審査していなかった進歩性についても審査を始めている。今回のフランスにおけるPPHの開始は、この改正も大きく影響していると思われる。

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