既報では、2021年1月28日時点でのミャンマーにおける知財制度の進展状況を紹介したが、その執筆直後の2月1日未明に、国軍によるクーデターが発生し状況が一変してしまった。
本稿では、2021年3月1日時点で知り得たミャンマーの情報を報告する。

<クーデター後の経過状況>
2月1日:知財局を所管する商業省を含む全省庁の大臣・副大臣が解任。知財制度の構築に尽力していた商業省アウン・トゥー副大臣も職を解かれた。

2月3日:商業省大臣にピウィン・サン氏が任命された。同氏は2011~15年のテイン・セイン政権下において商業省副大臣を務めていた。

2月8日:ミン・アウン・フライン国軍総司令官が施政方針演説を行い、外国からの投資を歓迎し、外交・行政・経済政策は前政権から変更しないことを述べた。

2月17日:商標出願受付システムが停止。システムのメイン画面では定期メンテナンスで22日に再開予定と発表されたが、実は、反体制側から防衛・商業系の政府機関のウェブサイトが一斉にサイバー攻撃を受けて、停止したとのこと。現地代理人の情報によれば、システムは再開されている。システム停止時点での総出願件数は、約25,000件で、これらのデータの破壊や漏洩はなかったとのこと。

2月23日:世界的ハッカー集団のAnonymousがミャンマー国軍に対して、サイバー攻撃をしかけることを宣言。

軍事政権は、外交・行政・経済政策は前政権から変更しないと述べており、今のところ、知財制度導入の方向性に大きな変化はみられない。
しかしながら、商標制度の導入にあたっては、元々は、料金については内閣等の承認、商標規則については国会での確認というプロセスが設けられていたところ、国会の開催は全く見通しが立たない状況である。
また、それ以前に、現在、国軍に対する抗議デモが全国規模で拡大し、国軍に抗議の意思を示すため職場を放棄する市民不服従運動(CDM)により行政機関や銀行、物流が停止し、市民生活が麻痺してしまっている。
そのため、直近で予定されていた商標制度の正式スタート(グランドオープニング)をはじめとして、諸々の知財制度導入の遅延は必至の情勢である。

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