1.はじめに
昨年6月に成立した改正著作権法に関して、法律トピックスでは以前侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する改正点(本年1月1日施行)についてご紹介しました。

今回は、令和2年改正法のうち、昨年10月に施行された著作物利用の円滑化を図るための措置に関する改正点について、会社法務に関連し得る部分を中心に解説いたします。

2.著作物利用の円滑化を図るための措置に関する改正点
昨年10月に施行された部分の改正点は以下の通りです。

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この他、著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化(第114条の3)、アクセスコントロール(シリアルコード等)に関する保護の強化(第2条第1項第20号・第21号等)といった改正点については、ダウンロード違法化に関する改正点と同様、本年1月1日に施行されています。

3.写り込みに係る権利制限規定の対象範囲(第30条の2)
平成24年改正で加わった附随対象著作物の利用(いわゆる「写り込み」)については、当時、立法の必要性が特に高かったとされる「写真の撮影」・「録音」・「録画」を行う際の利用に権利制限の範囲が限定されていました。

しかし、その後、動画投稿・配信サイトの発達など、社会実態が大きく変化したことに合わせ、今回の改正では、従前対象行為であった写真撮影等に限らず、複製や(複製を伴わない)伝達行為全般が対象行為として権利制限の範囲に含まれることになりました。この改正によって、スクリーンショットや録画を伴わない生配信等も権利制限規定の適用対象となります。

また、従前の著作権法第30条2項には、「著作物を創作するにあたって」との文言があり、固定カメラでの撮影やスクリーンショットなど、創作性の認められない行為は範囲から除外されていましたが、これも改正され、創作性が認められない行為を行う場面における映り込みも権利制限の対象となりました。

さらに、従前の規定では主たる被写体から分離困難な写り込みだけが対象とされていましたが、改正によって「正当な範囲内」(①付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、②分離の困難性の程度、③当該作成伝達物において付随対象著作物が果たす役割その他の要素という考慮要素が条文中に示されています。)である限り、必ずしも分離が困難でなくとも同条が適用され得ることになっています。

4.著作物を利用する権利の当然対抗(第63条の2)

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本改正以前、著作権者とライセンス契約を締結して著作物を利用するライセンシーは、著作権が譲渡された場合、ライセンス契約の当事者ではない著作権の譲受人などに対し、契約に基づき著作物を利用する権利を対抗することができず、著作物の利用を継続することができなくなるという状況がありました。

この問題を解消するため、まず第63条3項によって著作物を契約に基づき利用できる権利(ライセンス)を著作権法上「利用権」と呼ぶことにし、特許法の当然対抗制度を参考に設けられたのが第63条2項の当然対抗制度です。「当然」とある通り、利用権を譲受人等に対抗する(譲受人に対して利用権の範囲内の著作物の利用が侵害とならないことを主張する)ために、登録などの手続は不要とされています。また、譲渡のみならず、著作権者の破産や差押えによって特許権が移転する場合にもライセンシーが利用を維持することができますので、利用権を得て著作物を利用する事業について、安心材料が加わったといえるでしょう。

参考文献:
文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。