2021年3月3日に、中国最高人民法院は「知的財産権侵害民事案件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」(以下、司法解釈)を公表し、施行した。

同司法解釈は、下記のような懲罰的賠償に関する条文が知的財産権侵害訴訟で如何に適用されるかを、規定している。

china-intellectual property-2021-0419-1*通常の賠償額の算定方法は、上記それぞれの法律条文の抜粋部分の前文に記載されている。

以下、同司法解釈のうち、主な注意すべきポイントを紹介する。

1.「故意」と「悪意」について
 同司法解釈の第1条では、商標法第63条第1項および不正競争防止法第17条第3項における「悪意」は、同司法解釈における「故意」の意味に含まれるとされている。よって、当該「悪意」と専利法や民法典などの他法における「故意」とは、適用上同一の意味を有することが明確となった。

2.懲罰的賠償請求について
 同司法解釈の第2条では、懲罰的賠償は、提訴時における請求だけでなく、一審の法廷弁論終結前まで追加することもできるとされている。但し、原告は、懲罰的賠償の請求・追加にあたっては、賠償額、計算方法、根拠となる事実及び理由を明確にしなければならない。

また、原告が二審で懲罰的賠償請求を追加した場合、人民法院は調停を行うことができ、調停が成立しなければ、当事者に別途訴訟を起こすよう通知することも規定されている。

3.各要件の認定について
 同司法解釈の第3条~第6条では、人民法院は下記の各要件を認定するにあたり考慮しなければならない要素が明文化されている。

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さらに、「故意」が存在するものと仮認定され得る場合として、「原告または利害関係人からの通知や警告を受けた後も、継続して侵害行為をした場合」、「情状が深刻である」と認定され得る場合として、「被告が、侵害のために行政処分または法的責任を負うとの法院判決を受けた後で、再び同一又は類似の侵害行為をした場合」といったような具体例も挙げられている。

同司法解釈の施行により、知的財産権侵害訴訟における懲罰的賠償に関する審理基準が統一されるとともに、判決結果の安定性が高まることが期待される。

【出典】
中国最高人民法院「关于审理侵害知识产权民事案件适用惩罚性赔偿的解释」等

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