ブラジルにおいて、2021年8月26日をもって国家衛生監督庁(ANVISA;米国のFDAに相当)による医薬関連発明に関する特許出願の事前承認制度が廃止された(法律第14,195号)。

 これまでブラジルでは、医薬関連特許出願の審査は特許庁に相当する産業財産庁(INPI)に加えて、ANVISAでも行われるという特殊な実務が採用されていた。

 1999年に医薬品の製造承認など公衆衛生を管轄するANVISAが設立され、その後2001年にブラジル産業財産法の改正がなされ、「医薬品及びその製造方法に関する特許の付与は、ANVISAの事前の同意を必要とする」との条項が導入された(229C条)。この改正を受けて、医薬関連特許出願については、まずINPIが審査を行い、INPIで特許可能とされた出願についてANVISAが審査を行っていたが、2012年からは先にANVISAが審査を行い、その後INPIが審査を行う実務に変更された。

 ここで、ANVISAによる「事前の同意」の範囲については、公衆衛生の観点からの同意に限定されるのか、あるいは特許性の観点からの同意も含まれるのかが明らかではなく、ANVISAは「事前の同意」の範囲には特許性の観点からの同意も含まれると解釈し、新規性や進歩性などの特許性についても独自に審査を行ってきた。そのため、INPIとANVISAによる異なる2つの機関での審査による審査の長期化に加えて、INPIとANVISAとの間で特許性に関する判断基準が異なり、特にANVISAの判断基準がINPIと比較して非常に厳しいという深刻な問題があった。

2017年になって、INPIとANVISAは医薬関連特許出願の審査に関して合意するに至り、ANVISAは薬害のリスクなど公衆衛生の観点からについてのみ審査を行い、特許要件についてはINPIが単独で審査を行うことになった。これにより特許性に関する判断基準が相違するという問題は解決されたが、審査期間は依然として長期化したままであった。

ANVISAによる事前承認制度の廃止により、ブラジルでの医薬関連特許出願の審査の迅速化が期待される。

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