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知財判決ダイジェスト

特許 令和3年(行ケ)第10042号「無線充電器用磁場遮蔽シート及びその製造方法と、それを用いた無線充電器用受信装置」(知的財産高等裁判所 令和4年2月14日)

【事件概要】
本件は、拒絶査定不服審判において、「本件審判の請求は成り立たない。」とした審決が維持された事例である。

判決要旨及び判決全文へのリンク

【争点】
争点は、本願発明の「多数の細片間の隙間は、前記第1接着層及び第2接着層の一部が充填されて、前記多数の細片を絶縁させる」点(相違点2)が容易想到であるか否かである。

【結論】
審決は、本願発明の相違点2に係る構成は、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項を採用することにより当業者が容易になし得たことであると判断した。

判決は、本願発明は、非晶質リボンを多数の細片に分離することで、渦電流による損失を減少させ、細片の絶縁を生じさせる発明であるから、本願発明の構成は、多数の細片間の隙間は、第1接着層及び第2接着層の一部によって完全に充填されるものとは限らず、また、細片間の隙間が前記第1接着層及び第2接着層の一部に充填されることによって多数の細片が絶縁されるものに限るものではないことを前提として、引用文献1によれば、引用発明に係る磁性シートは、シート基材上に接着層を介して薄板状磁性体を接着し、薄板状磁性体上には接着剤付き保護フィルムを貼り付けて成るものであり、こうした磁性シートに、シート基材に接着された薄板磁性体に外力を加えて、薄板状磁性体をシート基材に接着された状態を維持しつつ、複数の磁性体片に分割すると、本件技術常識に鑑みれば、薄板磁性体を分割する工程によって生じる磁性体片の隙間に薄板磁性体を上下に覆っている接着層及び保護フィルムの接着剤の一部が上記隙間に流動して充填されるものと認められ、また、引用発明は、薄板磁性体を複数の細片に分割することによって絶縁するものであるから、相違点2は、引用発明及び本件技術常識により当業者であれば容易に想到し得たものといえると判示した。

【コメント】
原告は、引用文献2には本願発明の「前記多数の細片間の隙間は、前記第1接着層及び第2接着層の一部が充填されて、前記多数の細片を絶縁させる」ことの開示も示唆もないから、引用文献2を適用しても、相違点2の構成には想到し得ない旨主張したが、判決は、引用文献2には両面テープの接着剤が粉砕により生じた磁性部材の空隙に浸透する旨の技術事項が開示されているとした本件審決の認定は誤りというべきであるが、引用発明及び本件技術常識に鑑みれば、薄板磁性体を分割する工程によって生じる磁性体片の隙間に薄板磁性体を上下に覆っている接着層及び保護フィルムの接着剤の一部が上記隙間に流動して充填されるものと認めることが可能であり、また、引用発明は、薄板磁性体を複数の細片に分割することによって絶縁するものであるから、引用発明は相違点2の構成を備えているものと認められ、本件審決の引用文献2の認定に誤りがあるとしても、結論を左右するものではないから、原告の上記主張は理由がないと判示した。

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