[特許・意匠・商標/日本] 特許庁が達成すべき目標
毎年、経済産業省は、特許庁が達成すべき目標及びその目標に対する実績評価を公表している(出典1)。本稿では、令和7年度において特許庁が達成すべき目標に示されているポイントを紹介する。
1.特許・意匠・商標の審査期間
一次審査通知までの期間・権利化までの審査期間ともに、令和6年度目標が引き続き維持される。
知的財産推進計画2024によれば、特許に関し、AI関連技術の出願が急増する中においても審査請求から「権利化までの審査期間」を「平均14か月以内」に維持するよう審査体制を整備するとしている。
※出典1より引用した上で、黄色囲みの強調の追加
2.審判審理期間
足下の請求件数の動向等を踏まえ、以下のように目標が変更されている。
- 特許の拒絶査定不服審判の審理期間を12~14ヵ月に延長
- 商標の拒絶査定不服審判の審理期間を8~10ヵ月に短縮
- 無効審判(特許、意匠、商標)の審理期間を8~10ヵ月に延長
※出典1より引用した上で、黄色囲みの強調の追加
3.移転登録期間
これまで目標の対象外であった不備のある案件についての処理延伸が課題になっていたが、速やかに不備が解消した案件の事務処理を迅速化し、
- 手続書類に不備なし又は不備が受付から12営業日以内に解消されたものについて、15営業日以内に移転登録
といったように登録期間の平準化を目指すとのことである。
※出典1より引用した上で、黄色囲みの強調の追加
特許庁が達成すべき目標に対する実績評価を見ると、各目標は達成されているものが多いことがうかがえる。当然ながら、個別具体的な案件すべてが目標値通りの期間となるわけではないものの、戦略を練る際に、期間等の観点で参考にすることも一考されたい。
[出典]
1.経済産業省「実施庁の実績評価 - 令和7年度において特許庁が達成すべき目標について」
2.首相官邸「知的財産推進計画2024」(PDF)
[参考]
特許庁「特許行政年次報告書」※年次報告書では、年度ごとではなく、年ごとの各期間等が示されている。