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[意匠/中国] 多意匠一出願ガイドラインの公開

 中国国家知識産権局(CNIPA)は、2025年10月31日付けで意匠出願に係るガイドラインを公表した。今般のガイドラインでは、主に多意匠一出願(外観設計合案申請)について、具体的な意匠登録例とともに詳細に説明されている。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2025/10/31/art_66_202340.html

 中国専利法第31条第2項は、一意匠一出願を原則としつつ、「同一製品の複数の類似意匠」と、「組物の意匠」をその例外として認めている。

一意匠には、分離不可能な単一製品の意匠と、分離可能な組立品の意匠の二つの類型が含まれる。そのうち、組立品とは、複数の構成要素が結合して構成される一件の製品を指す(日本意匠実務上の「完成品」の意匠に相当すると言える)。

多意匠には、同一製品の二以上の類似意匠と、組物の意匠が含まれる。

類似意匠の多意匠一出願の場合、一出願に含み得る意匠は10意匠を超えてはならない。一方で、組物の意匠の場合、理論上は意匠数の制限がない。そして、これら多意匠一出願の最大の特長は、意匠登録された後、それに含まれる類似意匠の各意匠又は組物の各意匠について、権利者が各意匠単体で権利を主張する根拠とすることができ、また単体で無効宣告されることもあり得る点にある。(この点は日本における「組物」の意匠制度とは異なるため、実務上注意を要すると思われる。)

これに対して、組立品は上記のとおり複数の構成要素が結合して構成される一件の製品を指すが、あくまで「一意匠」に属するものであり、「多意匠」には属さない。したがって、多意匠一出願の形態には属さないため、組立品として意匠登録された後、組立品を構成する個々の構成要素は、権利者が各構成要素単体で権利を主張する根拠とすることはできず、また単体で無効宣告されることもない。

本ガイドラインでは、いかなる場合に組立品として認められるのか、いかなる場合に多意匠(類似意匠又は組物)として認められるのかについて、要件及び具体的な意匠登録例が紹介されている点において非常に有用と言える。

特に、2021年に導入された部分意匠制度について、部分意匠に係る多意匠一出願は、類似意匠の形態でのみ出願可能であり、組物としての出願は不可である旨が明示されている他、類似性判断の基準が具体的な意匠登録例とともに説明されている。

 審査の予見性を高め、拒絶リスクを低減するためにも、中国における意匠権の取得・活用戦略の策定に際しては、本ガイドラインを適宜参照することが望ましい。

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