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知財判決ダイジェスト

特許 令和7年(行ケ)第10039号「活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ハードコート積層フィルム、及びガラス外貼り用フィルム」(知的財産高等裁判所 令和8年1月15日)

【事件概要】
 この事件は、特許を取消した異議決定の取消しを求めた事案である。

 裁判所は異議決定を取消した。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

【主な争点】
 本件訂正発明1と甲2発明との相違点2が当業者に容易想到であるか否か。

【結論】
 甲2には、アンカーコートに用いる紫外線吸収剤としては、最大吸収波長が360nm以上400nm以下であるものの中から適宜選択すればよいが、ベンゾフェノン系が好ましい旨が記載されている。

 他方、甲1には、実施例として、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にA層(紫外線吸収層)及びB層(耐候性表面硬度化層)を順に積層し、A層の塗料組成物として「2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(30wt%)共重合メチルメタクリレート」(これは、相違点2に係る本件訂正発明1の「ベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位」に当たる。)が含まれる構成の光触媒コート用積層フィルムが記載されているが、甲1には、紫外線吸収剤に相当する「2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール」(甲1吸収剤)の最大吸収波長を読み取ることができる記載はない。

 そうすると、アンカーコートに用いる紫外線吸収剤として、最大吸収波長が360nm以上400nm以下であるものの中から適宜選択すればよいとされる甲2発明に接した当業者が甲1の記載に接したとしても、最大吸収波長が明らかではない甲1吸収剤を、甲2発明のアンカーコートに用いる紫外線吸収剤として採用する動機付けがあるとはいえず、これを左右する技術常識等も認められない。

 よって、当業者が、本件優先日当時、甲2発明及び甲1の記載に基づいて、相違点2に係る本件訂正発明1の構成に容易に想到できたということはできず、これを容易に想到できるとした本件決定には誤りがある。

【コメント】
 被告(特許庁)は、「本件決定が、甲2発明におけるアンカーコートの紫外線吸収剤として、甲1記載事項のベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマー共重合アクリル樹脂を採用することは容易に想到できたと判断したものである」旨を主張したが、裁判所は、「最大吸収波長が甲1の記載からは明らかではなく、かつ、ベンゾフェノン系でもないベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマー共重合アクリル樹脂を採用する動機付けがいかなる理由により認められるのかに関して、本件決定の論理は不明瞭というほかない」として被告の主張を採用しなかった。

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