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[商標/台湾]商標法改正案の概要

台湾商標法の改正については、2018年頃から検討が進められていたが、このほど、2023年5月9日に台湾商標法の一部改正草案が台湾立法院(国会に相当)の審議を通過した。施行日は未定だが、早ければ今後半年ほどで施行日が公布されると思われる。なお、台湾立法院の審議を通過した法案は正式に法律として成立する。

注目の改正点は以下の通り:

■ 早期審査制度(加速審査)の追加(改正商標法第19条第8項)
現行制度では、日本の早期審査のような制度は設けられていなかった。改正案では、権利の早期取得が必要である場合(例えば、商標登録出願人が侵害訴訟に巻き込まれ、権利を確認した場合や、商品が既に市場に出回っている場合など特別な必要性がある場合)は、早期審査を行うことができる、と規定された。早期審査の対象となれば、審査時間は2ヵ月に短縮される。なお、早期審査の申請には庁費用(約3万円程度)の納付が必要である。既に補正又は拒絶理由が通知されている場合は除かれる。

※その他の要件として、商標登録出願人が、商標が市場で実際に使用されている、上場や見本市への出展が予定されている、第三者から授権請求や権利侵害の警告を受けた、権利侵害訴訟において確認される権利があるなど、直ちに権利を取得する必要がある場合、専門商標局は関連細則に基づいて早期に審査できると規定されている。

※なお、台湾では、既に2021年5月1日からファストトラック審査が正式に施行運用されている。一定の要件を満たす出願はファストトラック審査の対象になり、通常の出願に比べ審査期間が約1~1.5ヶ月短縮され、出願からおよそ4ヶ月でFA(ファーストアクション)が通知される。ファストトラック審査は別途の申請や料金等は不要であり、要件を満たす出願は自動的にファストトラック審査の対象となる。

■ 商標代理人に関する規定(改正商標法第6条)
現行制度では、商標代理人について、国内に住所を有することのみを条件としていたが、改正案では、国内に住所を有し、次のいずれかの資格を有する者に限るとされた。

(1)弁護士や会計士など商標代理人の業務を行う法的資格を有する専門家、

(2)商標当局が実施する商標専門能力試験に合格し、または一定期間商標審査に従事したことを前提として、毎年登録申請を行い、実地研修を修了した商標代理人

※なお、台湾には日本の弁理士に相当する資格として専利師があるが、これはあくまで特許・実用新案・意匠を専門とする資格であり、商標専門の国家試験はない。

■ 商標権の効力が及ばない範囲に「Nominative fair use」が明文化(改正商標法第36条第1項第2号)
現行制度では、「Nominative fair use」に関する明文規定がなかったが、改正案では、「誠実かつ信用できる商取引の原則に従い、他人の商品または役務を示すために他人の商標を使用することが必要である場合」は商標権の効力が及ばない、という規定が追加された。これにより、いわゆる「Nominative fair use」が権利侵害とならないことが明文化された。例えば、携帯電話の修理業者が、店舗看板に、各携帯電話メーカーの商標を使用して、修理の対象となる携帯電話メーカーを示している場合は、権利侵害にならない。ただし、使用の結果、関連消費者に両者が同一の出所であると誤認させる場合、または関連企業、フランチャイズ関係、その他類似の関係があり、混同や誤解を生じさせる可能性がある場合は除かれる。

※商標のフェアユースには、「descriptive fair use」と「nominative fair use」の 2 種類がある。このうち、「nominative fair use」とは、他人の商標を他人の出所表示として用いつつ、自己の商品や役務の品質、性質、特徴、用途などを表示する場合の公正な使用を意味する。

■ 税関押収手続きの簡素化(第75条第2項)
現行制度では、商標権者が税関から輸出入品が商標権を侵害するおそれがあるとの通知を受けた後、期限内に「税関に出向いて」侵害の証拠を提出しなければならなかった。改正案では、「税関に出向いて」の文言が削除された。すなわち、商標権者が税関から通知を受けた後、必ずしも自ら税関に出向いて侵害認定を行う必要がなくなった。

※米国、日本、ドイツ及び韓国の税関実務は、商標権者が税関に出向いて認証を受けることを要求していない。現代技術の進歩に鑑み、写真撮影により鮮明な写真ファイルを入手することは技術的に可能とのことで、「税関に出向いて」という文言が削除された。

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