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[特許・意匠/米国] 先願主義への移行に向けた最終規則・審査ガイドライン公表

 米国特許商標庁(USPTO)は、特許法改正(AIA)施行に伴う先願主義への移行に向けた最終規則及び審査ガイドラインを2013年2月14日に公表した。いずれの施行日も、先願主義への移行と同日の2013年3月16日とされている。

最終規則及び審査ガイドラインでは、2012年7月に公表された案に対するパブリックコメントを受けて、様々な説明が加えられ、一部は大幅に変更されている。しかしながら、これまでの実務を変更する内容を含む点に変わりはなく、特許性に影響を与えうる改正や運用変更もあるため、注意が必要である。

例えば、次の3点については、アメリカ国内でも大きな懸念を示す実務家が多かったが、最終規則及び審査ガイドラインの内容は出願人等に対する影響や負担を一部軽減するものとなっている。

・出願日が施行日の2013年3月16日以降であって、施行日より前の優先日等を主張する出願(Transition Application)に要求される陳述書(Statement)(規則1.55(j)、1.78(a)(6)及び1.78(c)(6))
有効出願日が施行日以降となるクレームを含む(又は含んでいた)場合については、所定の期間内に陳述書を提出することが求められる。

この陳述書に関する規則については、陳述書の提出が不要な場合が明確にされた点が規則案と異なっており、最終規則では、「出願人が規則1.56(c)に指定される者にすでに知られていた情報に基づいて、有効出願日が施行日以降となるクレームを含んでいないと合理的に信じている場合」には、陳述書の提出は求められないとされている。
(注:規則1.56(c)に指定される者=IDSに関する規則で定義されている「特許出願に関わりのある者 (Individuals associated with the filing or prosecution of a patent application)」)

陳述書の提出期限は、以下に示す1)~4)のいずれか遅い日となる。

1)本出願(nonprovisional application)の現実の出願日から4ヵ月以内
2)PCT国内移行の日から4ヶ月以内
3)先の外国出願(又は仮出願)の出願日から16ヶ月以内
4)2013年3月16日以降の有効出願日を有する発明についての最初のクレームが本出願で示された日

なお、規則案では、「先の出願には開示されておらず、有効出願日が施行日以降となる主題が明細書で開示されている場合」にも陳述書の提出が求められていた。最終規則ではこの点が変更され、該当する主題が明細書で開示されている場合であってもクレームされない限りは、陳述書の提出は不要とされた。(最終規則”General Discussion of the Changes From Proposed Rules”参照)

・グレースピリオドの適用を受けるための宣誓書等(規則1.130及び1.77(b)(6))
規則案では、拒絶の根拠となる開示が発明者等から直接的又は間接的に開示された主題を得た者(party)による場合などにおいて提出が求められる説明(showing)が詳細に規定されていたが、最終規則では要件が一部簡略化された。(最終規則”Changes To Affidavits or Declarations Showing a Prior Disclosure by an Inventor or Another Who Obtained the Subject Matter From an Inventor”参照)

また、最終規則では、今後、追加のパブリックコメントを募る予定も言及されている。

・いわゆる中間開示(Intervening Disclosure)に関するグレースピリオドの適用範囲(審査ガイドラインII.B.b.及びII.C.c)
規則案では、発明者等による開示に対して中間開示(有効出願日前であって、発明者等による開示後になされた開示)の有する差異が「ただの本質的ではない変更、又は、ほんの些細な若しくは自明なバリエーション(mere insubstantial changes, or only trivial or obvious variations)」であっても、新102条(b)(1)(B)及び(b)(2)(B)に規定される例外を適用しないとしていたため、この点に対して多くのパブリックコメントが寄せられていた。

これを受けて、最終規則では、発明者等による開示と他者による中間開示が同一の様式(mode)であることは求めないことが言明された。また、発明者等による先の開示が、中間開示の「逐語的な開示(a verbatim or ipsissimis verbis disclosure)」であることは求めないことも言明された(審査ガイドライン”General Discussion of the Recurrent Issues Raised in the Comments Responses to Specific Comments”参照)。

[出典]
米国特許商標庁ウェブサイト
Press Release, 13-10
USPTO Publishes Final Rules and Guidelines Governing First-Inventor-to-File

官報
・最終規則 (Changes To Implement the First Inventor To File Provisions of the Leahy-Smith America Invents Act)
・審査ガイドライン (Examination Guidelines for Implementing the First Inventor To File Provisions of the Leahy-Smith America Invents Act)

[参考]
規則案
審査ガイドライン案

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