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[特許]米国特許法101条を巡る状況(2016年9~12月) ~ソフトウエア・ビジネスモデル関連では進展が続く~

(※続報は【関連記事】のリンク先参照)

2016年5月12日のEnfish v. Microsoft事件に対する連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の判決以降、米国特許法101条の特許適格性(保護適格性;日本特許法の特許・実用新案審査基準における発明該当性に相当)に関する司法上の例外のうち、抽象的アイデア(abstract idea)については進展が相次いでおり、ソフトウエア・ビジネスモデル関連の発明については、取りうる措置の方向性が明確になりつつある。

米国特許商標庁(USPTO)により公表されている裁判例リストによれば、Enfish判決から11月1日までの期間でCAFCが特許適格性有りとした判決は4件あり、そのうち3件が抽象的アイデアに関するものとなっている。これを受けて、USPTOは、5月19日付けに続き、11月2日付けで新たな審査官向けメモランダムを公表している。

今回のメモランダムでは、McRO v. Bandai Namco Games America事件及びBASCOM Global Internet Services v. AT&T Mobility事件へのCAFC判決について検討が行われており、下記のように、これまでよりも踏み込んだ説明がある点に注目できる。

・McRO事件のCAFC判決について
クレームの過剰な一般化を行わないように審査官にあらためて指示。また、(特許適格性有りの判断に貢献する)コンピュータ関連技術の改良は、コンピュータ又はコンピュータ・ネットワークの動作における改良に限られず、以前はコンピュータで実行できなかった機能を実行可能とすることによって、コンピュータ関連技術の改良となる「規則(rules)」の組み合わせ(基本的には数学的関係)としてクレームされても良いと言及。クレームされた発明による改良を考慮する際には、明細書の記載を参照できるとも言及。

・BASCOM事件のCAFC判決について
(法的例外を有意に超える(significantly more)の判断において、)クレームされている構成要素の組み合わせが、既知で従来からある要素の非従来的で非一般的なものであるか否かを考慮するように指示。

なお、USPTOは、12月15日付けでビジネス方法関連の事例のほか、ガイダンス早見シートの2016年12月版及び2016年12月15日までの裁判例リスト更新版を公表し、2016年12月21日付けで事例集の目次を更新しており、引き続き、最新の裁判例等への積極的な対応を続けている。

一方、ライフサイエンス関連の発明については、特許適格性が認められたCAFC判決は、上述の4件のうちの残りの1件であるRapid Litigation Management v. CellzDirect 事件のみである。また、USPTOの裁判例リストにおいても、同事件の判決があった7月5日から11月1日までの期間でライフサイエンス関連のCAFC判決は掲載されておらず、ソフトウエア・ビジネスモデル関連と異なり、注目できる進展がない状況にある。

【出典】
米国特許商標庁「Subject matter eligibility

【参考】
日本特許庁「産業財産権制度各国比較調査研究報告書(平成29年度研究テーマ):各国における近年の判例等を踏まえたコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状に関する調査研究
※2017年12月7日に日本特許庁より公表された報告書で、上記のMcRO v. Bandai Namco Games America事件及びBASCOM v. AT&T Mobility事件の概要も含まれている

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***更新情報(2017年3月17日)***
本文中の審査官向けメモランダムに関する誤記を訂正
出典のリンク先ページが整理されたことにあわせて、表記を変更

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