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[特許/EP]<解説>ロンドン・アグリーメントとは

2015年1月からノルウェーが加入したロンドン・アグリーメントは、欧州特許付与後の各締約国における特許発効手続において各国言語への翻訳文の提出要件を緩和することを目的とする合意であり、翻訳文作成費用の大幅な削減を狙うものである。

ロンドン・アグリーメントは、欧州特許条約(EPC)の締約国38か国のうち、同アグリーメントに批准または加入した国に適用される。ノルウェーの加入により、適用国は21か国となり、各国での特許発効手続において要求される翻訳文は、大きく分けて以下の2通りである。なお、侵害訴訟等の紛争では各国公用語への翻訳文が要求される場合がある。

1. 英語・独語・仏語のクレームのみが要求される国:
フランス、ドイツ、アイルランド、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、モナコ、スイス、英国
EPOでの手続言語(英語・独語・仏語)を公用語とするこれらの国では、明細書全文について公用語への翻訳は要求されない。なお、通常の欧州特許出願と同様に、EPC上の義務として、許可予告(規則71(3)の通知)後には3つの手続言語によるクレームを用意する必要がある(実務上は、許可予告から4か月以内に出願手続に用いた言語以外の手続言語(英語で出願手続を行った場合は独語および仏語)によるクレーム翻訳文の提出が必要)。

2. 現地語のクレーム翻訳文が要求される国:
アルバニア、クロアチア、デンマーク、フィンランド、旧ユーゴスラビア共和国マケドニア、ハンガリー、アイスランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スロベニア
EPOでの手続言語以外の言語を公用語とする国は、手続言語のうち少なくとも1つを指定し、その指定言語で特許が付与された場合またはその指定言語へ翻訳がされた場合には、自国の公用語への明細書翻訳文は要求されないが、当該公用語へのクレーム翻訳文の提出が必要となる。

【出典】
欧州特許庁「London Agreement – Key points

【参考】
欧州特許庁「National law relating to the EPC: IV. Translation requirements after grant pursuant to Article 65 EPC」※各締約国における特許発効手続(validation)で要求される翻訳文を確認することができる

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***更新情報(2018年8月21日)***
【参考】に「National law relating to the EPC」へのリンクを追加

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