トピックス

  1. TOP
  2. トピックス
  3. [商標/日本]同意書(コンセント)制度を適用した初の商標登録...
知財トピックス 日本情報

[商標/日本]同意書(コンセント)制度を適用した初の商標登録が実現

■2025年4月7日、特許庁は「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました。「コンセント制度」とは、先行登録商標と同一または類似する商標であっても、先行登録商標権者の承諾(コンセント)があり、かつ両商標間で混同のおそれがない場合には、商標登録を認める制度です。2024年4月1日施行の改正商標法により導入され、施行日以降にされた出願から適用されています。

今回、先行登録商標権者の承諾を得た下記出願商標(酒造メーカーの株式会社車多酒造による「玻璃」)が、コンセント制度の適用第1号として登録されましたので、ご紹介いたします。

(出典:経済産業省ニュースリリース 2025年4月7日)

■ 概要
今回の事例では、出願人(株式会社車多酒造)と先行商標権者(シャディ株式会社)が合意書・承諾書を交わし、合意書において、
・一方は酒ラベル、他方はギフトカタログのみで使用 
・混同防止のため使い分ける 
ことを明記しており、これにより、混同の恐れがないと判断され、登録が認められました。また、出願人は、拒絶理由通知を待たず、上申書とともに承諾書や合意書等を提出しております(商標の類似性については特に言及されていません。)。なお、コンセント制度の書類は出願時や拒絶理由通知前にも提出可能です。合意書・承諾書の記載例は特許庁から公表されていますが、現在の記載例は一例に過ぎません(商標審査便覧〔42.400.02〕参照)。本事例も参考事例の一つとなります。

■ 本件事例においては、以下の書類が提出されております。
上申書
出願人は、出願後、拒絶理由通知を待たずに、上申書とともに、商標法第4条第4項の主張に関する資料(承諾書、合意書、各自の業務内容に関する資料〔各自のHPの写し〕)を提出しています。また、提出したHPに基づき、各自の業務内容について簡潔に記載しています。

承諾書
出願人は、先行登録商標権者(シャディ株式会社)との間で交わされた承諾書を提出しました。記載内容は、特許庁が公表している記載例に準じています。(商標審査便覧〔42.400.02〕参照)

合意書
出願人は、先行登録商標権者(シャディ株式会社)との間で交わされた以下内容の合意書を提出しました。

 「混同を生ずるおそれ」が生じないよう以下のとおり合意する。
(1) 甲は乙が出願商標について、商標登録を受けることを承諾する。
(2) 乙が商品に貼り付けるラベルとして以下*を使用し、説明書での出願商標の使用も、混同防止に努める。
(3) 甲は、ギフト用カタログに引用商標を使用し、乙は、出願商標を指定商品にのみ使用する。

■ 参考)出願人商標の使用態様
*下記のラベルと同様のものを提出

(出典:https://shopping.kimijimaya.co.jp/view/item/000000008345?srsltid=AfmBOooeWuXLJjn52KA51unbRlK14pXQEVsae6H4qKRgGujlaE5GPtMu

■ 参考)シャディ ギフト用カタログにおける商標の使用態様

(出典:https://catalog-gift-guide.com/repute/item.php?id=500031501

■ 現在特許庁が発表している「合意書」の記載例(抜粋)は以下の通りです。

合意書 (記載例1)
(1)甲は、乙が出願商標について、商標登録を受けることを承諾する。
(2)甲は、別紙2記載の社名を付さずに引用商標を使用せず、乙は、別紙3 記載のハウスマークを付さずに出願商標を使用しないものとする。
(3)甲は、引用商標を指定商品第9類「コンピュータソフトウェア」のうち 医療用コンピュータソフトウェアにのみ使用し、乙は、出願商標を指定商品 のみに使用するものとする。
(4)・・・

合意書 (記載例2)
(1)甲は、乙が出願商標について、商標登録を受けることを承諾する。
(2)甲は、甲の社名を付さずに引用商標を使用せず、乙は、特定のハウスマークを付さずに出願商標を使用しないものとする。
(3)甲は、引用商標を指定商品のうち特定の商品にのみ使用し、乙は、出願商標を指定商品にのみ使用することで、甲及び乙は、出願商標と引用商標を 同一商品に使用することはないものとする。ハウスマークを付さずに出願商標を使用しないものとする。
(4)…

(出典:商標審査便覧〔42.400.02〕)

CONTACT

弊所に関するお問い合わせはWebフォームよりお願いいたします。