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「プレミアム事件」について

 登録商標「プレミアム/PREMIUM」の専用使用権設定を受けていた原告は、標章「Premium by LAST SCENE」に係る使用が商標権侵害に当たるとして、差止請求及び損害賠償を求めていましたが、裁判所は両商標は類似しないと判断しました。【大阪地20(ワ)4733】

● 原告の商標と被告の使用標章

原告「株式会社ビッキー」は、本商標権の商標権者「帝人ファイバー株式会社」の専用使用権者であり、専用使用権が設定された商品は「婦人服」です。

090731

●裁判所の判断

被告各標章のうち、「Premium」の部分が、取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められないし、「Premium」以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないとも認められない。むしろ、・・・、被告各標章において、「Premium」の部分において出所識別標識としての機能を有しているとしても、「by LAST SCENE」の部分の方により強い出所識別機能を認めることができる。したがって、被告各標章のうち「Premium」の部分だけを抽出し、この部分だけを本件商標と比較して類否を判断することは許されず、被告各標章の全体と対比する必要があるというべきである。

● 感想

裁判所は、「プレミアム」「PREMIUM」「Premium」標章が、H12終わりころから飲料業界において従来品より高級・上質であることを示す言葉として商品名に使用され始め、その後他の業界でも同様の意味を有する商品や役務を示す言葉として頻繁に使用されるようになり、「プレミアム」「PREMIUM」「Premium」が「高品質の,高級な,高価な」を意味する言葉であるとの認識も一般的に普及するようになったといえる等、さまざま事実を踏まえ、「プレミアム」「PREMIUM」の識別力や被告各標章の要部を検討しています。本件商標が登録されたのは昭和62年ですから、その当時は識別力が認められたのかもしれません。今回のケースのように、登録後に識別力が弱くなり侵害が認められないという登録商標は少なくないように思います。

以上

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