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知財判決ダイジェスト

特許 令和5年(行ケ)第10014号「ナビゲーション装置」(知的財産高等裁判所 令和5年11月29日)

【事件概要】
 訂正審判において、訂正が実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであるとして訂正を認めなかった審決を知財高裁が維持した事例。
判決要旨及び判決全文へのリンク

【争点】
 請求項1の「位置情報」の前に「地点候補の」との事項を追加する訂正(訂正事項1)により、特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたか否か

【結論】
 訂正後の請求項1の発明では、「地点候補の」との文言を加えることにより、位置情報を取得し得る「地点」についての「制限」をなくし、位置情報を取得できる範囲を不明とするものであり、特許請求の範囲の記載のうち、「前記表示手段の地図画面上に前記地点候補がシンボルマークで表示されている間は、前記位置情報取得手段によって位置情報を取得し得る地点を、前記シンボルマークに対応する位置に制限する」との文言(構成要件G)を無意味とし、発明特定事項の一部を削除するものということができる。・・・

 そうすると、訂正事項1により、請求項1に係る発明は、本件訂正前の請求項1に記載される地点の位置情報を取得し得るのがシンボルマークに対応した位置に限られ、それ以外の地点の位置情報は取得し得ないこととなるものから、位置情報を取得し得る地点についての「制限」をなくし、位置情報の取得範囲を不明として、発明特定事項の一部を削除するものに変更されることになるから、この変更は、特許請求の範囲を変更するものであるところ、その変更は、減縮的な変更には当たらず、また、「明瞭でない記載の釈明」を目的としたものともいえず、本件訂正前の請求項1の記載の表示を信頼した第三者に不測の不利益を与えることになることは明らかである。

 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を変更するものと認められるから、特許法126条6項の要件に適合しないというべきである。これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。

【コメント】

 上記判示を上記図のように単純化すると、訂正事項1により、訂正前は「B情報を含むA情報」が「B情報」に限定されるという意味合いであったところ、訂正後は「B情報」に対して追加の制限がないため、結果的に「B情報」がそのまま維持されるという意味合いになるといえよう。

 「位置情報」という発明特定事項に「地点候補の」という語句を付加することは、単語レベルで考えると、発明特定事項の限定又は減縮と見えるかもしれないが、全体の文脈を考慮すると、この付加が実際には構成要件Gを実質的に無意味なものとし、発明の範囲を減縮するどころか拡張していると解釈することも可能であろう。

 原告は、訂正事項1につき、訂正の前後で特許請求の範囲の内容が変わるものではない旨主張したが、裁判所は、訂正事項1により請求項1の特許請求の範囲に変化があることが明らかであるとして、主張は採用されなかった。

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