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[特許・実用新案・意匠・商標/日本]期間徒過後の救済規定に係る回復要件の緩和

令和5年4月1日、特許法等の一部を改正する法律(令和3年法律第42号)の一部が施行され、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」(以下、故意でない基準)へと緩和される。

1.救済対象となる手続
「故意でない基準」による救済対象手続は、「正当な理由があること」による救済対象手続と同一であり、下表の通りである。なお、施行日である令和5年4月1日以降に手続期間を徒過した手続が「故意でない基準」の対象となるため、令和5年3月31日以前に手続期間を徒過した手続は、「正当な理由があること」が回復要件となることに留意する必要がある。

2.手続の時期的要件
期間徒過後の手続ができるようになった日から2月以内かつ手続期間の経過後1年以内(商標に関しては6月以内)に、所定の期間内に行うことができなかった手続をする必要がある。その際には、手続をすることができなかった理由を記載した回復理由書を提出する必要がある。

※出典1より引用

3.判断基準
出典1に示す特許庁のサイトには、「故意に手続をしなかった」と判断されて救済が認められない可能性がある事例として以下の7つ(詳細は出典1を参照)が列挙されている。ただし、事例と一致しない場合に、救済が認容されることを保証するものではない旨も記載されており、個別具体的に判断されると考えられる。

【事例1】期間徒過後の社内の方針転換
【事例2】現地代理人の支払い遅延
【事例3】権利放棄決定後の他社からの照会
【事例4】金銭的事情による経営判断
【事例5】廃業後の後継者の就任による事業再開
【事例6】共有者との調整不足による手続徒過
【事例7】納付書の不備にかかる指令に対応せず手続却下された場合

4.回復手数料
故意でない基準により回復理由書を提出する際には、下表の回復手数料を納付する必要がある。

5.特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権の回復制度の要件の緩和
令和5年4月1日、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令により、特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権の回復制度の要件についても緩和されることが予定されている。より具体的には、優先権の回復請求を受理官庁である日本国特許庁に提出する場合には、優先権の回復制度の要件が「相当な注意」基準から「故意ではない」基準に緩和される(特許協力条約に基づく規則(以下、PCT規則)26の2.3)。

ここでいう「故意ではない」基準では、出願人が意図的に国際出願を優先期間内に行わなかったものではなく、優先期間内に出願する意思を基本として継続的に有していた場合には基準を満たしていると判断される(出典3のガイドライン166I参照)とされている。

なお、令和5年4月1日以降に受理官庁としての日本国特許庁が「故意ではない」基準により回復を認めた優先権であっても、「相当な注意」基準を採用している指定官庁に対しては効力を有さない。そのため、「相当な注意」基準で回復を認めることを希望する場合、「故意ではない」基準及び「相当な注意」基準を採用している国際事務局に国際出願を行うことも検討することが必要となる。

[出典]
1.日本特許庁「期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されます
2.日本特許庁「令和5年4月1日以降に優先期間を徒過した国際出願の優先権の回復(「故意ではない」基準)について
3.世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)「PCT RECEIVING OFFICE GUIDELINES(as in force from July 1, 2022)」(PDF)、「(仮訳)特許協力条約に基づく規則(2022年7月1日発効)」(PDF)

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