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[特許/米国] 特許発行までの期間が短縮

2025年4月15日、米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office: USPTO)は特許発行通知後、今までより早期に特許が発行される旨を公表した。出願人が許可通知を受領した場合、特許発行手数料の納付については3か月以内に支払うことが必要であり(37 CFR 1.316)、出願人は当該手数料の納付の約1~3週間後に特許発行通知を受領する。特許発行通知には、特許の発行が予定される日付が示される。

USPTOの発表によれば、2023年に導入された特許証の電子発行(eGrants)を含むUSPTO内部のプロセスの効率化により、以下のように特許発行通知から特許発行までの期間が短縮される。

  • 2025年5月13日より前:            平均で3週間
  • 2025年5月13日以降:       約2週間

USPTOは、特許発行までの期間が短縮されることにより、

  • 出願人に対し早期に発明の保護を与えること
  • 出願人が特許発行手数料の納付後に情報開示陳述書(Information Disclosure Statement:IDS)を提出する必要性を回避すること

を可能にするとしている。

IDSへの影響
情報開示義務とは、37 CFR 1.56に基づき、出願に係る発明の特許性にとって重要である、出願人が知っている全ての情報を、出願人がUSPTOに開示する義務をいう。出願に係る発明の特許性に関連し得る情報は、通常IDSによりUSPTOに提出する。

この情報開示義務は、出願が放棄されるまで、または出願に対して特許が発行されるまで続くが、特許発行手数料を納付した直後にIDSの提出が必要となることがある。例えば、特許発行手数料の納付から特許発行までの間に、他国の関連出願の庁通知で引用された新たな先行技術文献を知ったような場合である。このタイミングの場合、出願人はQPIDS(Quick Path Information Disclosure Statement)により先行技術文献を提出することができる。このQPIDSには特許発行の取下げ、並びに条件付き継続審査請求(Request for Continued Examination: RCE)及びRCEに係る庁費用が含まれる。条件付きRCEとは、QPIDSにおいて提出された先行技術文献を検討するために手続を再開する必要がないと審査官が判断した場合には、RCEに係る庁費用が返還されるものである。

USPTOの今回の発表により特許発行通知から特許発行までの期間が短縮されることで、例えばQPIDSにより新たに発見された先行技術文献を提出する必要がある期間が短縮されることも意味しているといえる。

継続性出願への影響
米国における継続性出願には以下の3つがある。これらは親出願が係属中に出願することができるため、親出願の特許発行前に出願することができると言い換えることもできる。

  • 分割出願 (Divisional Application)
  • 継続出願 (Continuation Application)
  • 一部継続出願 (Continuation-in-part Application:CIP)

特許発行通知から特許発行までの期間が短縮されることで、これらの継続性出願をする期間も短縮されることを意味する。そのため、特許発行通知後であっても継続性出願をすることは可能であるものの、継続性出願をする可能性がある場合には、特許発行手数料を納付する前に十分に計画する必要がある。

推奨事項

  • 継続性出願については許可通知を受領した時点で検討し、特許発行手数料の納付前又は納付とともに継続性出願をすることが強く推奨される。

また、IDSについては、従来から推奨されている以下の事項を、改めて留意されたい。

  • 特許発行手数料を納付する際には、納付前に他国の関連出願を検討することでIDSにより提出すべき先行技術文献を特定し、不要なQPIDSを提出するといった手続きの複雑さや費用の発生を回避することが推奨される。
  • 今回のような特許発行までの期間の短縮に関連する変更の有無を問わず出願手続き中は、手続きの複雑さや費用の発生を回避するために、庁通知から3か月の期間内のできるだけ早い時期に、他国の関連出願の庁通知で引用された新たな先行技術文献をIDSにより提出することが推奨される。

[出典]
USPTO「USPTO modernization efforts successfully expedite patent issuance
USPTO「Patent Rules 1.316 Application abandoned for failure to pay issue fee.
USPTO「eGrants and eCofCs
弊所対外サイト「[特許等/米国] 特許証の電子発行
USPTO「Patent Rules 1.56 Duty to disclose information material to patentability.
USPTO「Quick Path Information Disclosure Statement
USPTO「Manual of Patent Examining Procedure 201.06 Divisional Application
USPTO「Manual of Patent Examining Procedure 201.07 Continuation Application
USPTO「Manual of Patent Examining Procedure 201.08 Continuation-in-Part Application

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