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[全般/カナダ]カナダ知的財産局の庁費用改訂

カナダ知的財産局は、庁費用のほぼ全ての項目について、2024年1月1日から25%~36%値上げすることを発表した。本稿では今回の庁費用の値上げの概要を説明する。

1.庁費用の値上げ
庁費用の値上げの主要な項目を以下に示す。カナダ知的財産局の発表、及び現地代理人からのニュースレターを元に作成したものである。

(1)特許


(2)意匠

(3)商標

2.庁費用削減のための対応
カナダでの庁費用を抑えるには、例えば、2023年中に以下の対応等をしておくことが考えられる。
・新規出願等を行う
・維持年金を払う

また、特許の分割出願をすることを予定している場合には、分割出願を2023年中にすることが庁費用を抑えるためには望ましい。特に親出願の出願日から2年を超えている場合には、維持年金との関係で、庁費用削減効果は大きい。分割出願の場合に、庁費用削減効果が大きい理由を以下に説明する。
維持年金は、出願日より2年目から適用され、分割出願の維持年金は、親出願の出願日を基準として計算される(Manual of Patent Office Practice (MOPOP) Section 3.04.05)。そして、親出願の出願日から2年を超えて分割出願した場合には、分割出願と同時に2年目以降の維持年金を支払う必要がある(MOPOP Subsection 68(2))。そのため、2年目以降にかかる維持年金について値上げ前の庁費用が適用されるように、分割出願を2023年中にすることが庁費用を抑えるためには望ましい。

次に、特許の審査請求の庁費用について考慮すべき点を以下に説明する。
①上記1.(1)で示した表の通り、審査請求の庁費用は、2023年は816CADであるところ2024年には1,100CADとなるため、2023年中に審査請求すれば284CADの庁費用を削減できる。
②審査請求の期限は、出願日から4年と比較的長いため、審査請求をする前に、他国の出願経過を踏まえて自発補正等の対応をすることで、オフィスアクションの回数が減る可能性がある。その結果、代理人費用や将来的なRCE費用を削減できる可能性がある。

①及び②を比較衡量すると、①よりも②の方が費用の削減につながる可能性がある。したがって、審査請求の庁費用の値上げという理由のみで、2023年中に審査請求することとするのではなく、他国の出願経過の状況や審査請求期限を考慮した上で審査請求するかどうかを検討することが望ましい。
なお、RCEについては、RCEを予定している場合であって、応答期限が2024年はじめなのであれば、2023年中にRCEすることが庁費用を抑えるためには望ましいと考えられる。

3.小規模団体
1に示した各表は、標準の庁費用に関するもののみを示しており、小規模団体(small entity)には適用されない。小規模団体に関する庁費用は、値上げ幅はきわめて小さいとされている。また、今回の庁費用改訂の発表では、小規模団体の定義が「50人以下の従業員」から「100人未満の従業員」に拡大されることも示されている。

[出典]
カナダ知的財産局(Canadian Intellectual Property Office; CIPO)「What you need to know about upcoming changes to CIPO’s fees
現地代理人によるニュースレター
[参考]
弊所サイト「[特許/カナダ]カナダ特許規則の改正

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