トピックス

  1. TOP
  2. トピックス
  3. [特許/IP5、WIPO]<コラム>公報発行日に関するトリビ...
知財トピックス 日本情報 米国情報 欧州情報 東アジア情報

[特許/IP5、WIPO]<コラム>公報発行日に関するトリビア ~「18か月経過後」に最も早く出願公開をする庁は?~

多くの国における特許法だけでなく、特許協力条約(PCT)においても採用されている出願公開制度では、原則として、出願日(又は優先日)から18か月経過後に特許出願の内容が公開されます。そのため、特許出願の実務では、ある出願(先願)が間もなく公開される時期に関連出願(後願)を準備する際、自らの先願に係る発明が新規性・進歩性の先行技術とならないように、先願の出願公開前に出願を確実に完了させる場面があります。

そこで気になるのが、外国分を含む公開公報の発行スケジュールですが、出願日(又は優先日)から18か月が経過した最初の日ではなく、日米欧中韓のいわゆるIP5では、表1に示すように、その後の特定の曜日に発行されることが一般的です。

<表1:公開公報(公開特許公報)の発行日※1, 4>
20180219-1

<表2:登録公報(特許掲載公報)の発行日※1, 4>
20180219-2

※1 国・地域・機関の休日等の理由で変更される場合があります。
※2 「毎週木曜日と原則月1回月曜日」とされていますが、2017年は月曜日の発行がなかった一方で、過去には月曜日に複数回発行された年もあります。
※3 必要に応じて火曜日に追加発行されることがあります。
※4 各国・地域・制度の公報発行日は、下記の資料又はデータベースにて確認
・日本=日本特許庁「公報発行予定表
・米国=米国特許商標庁「Search for patents: Patent Full-Text Databases
・欧州=欧州特許庁「European publication server
・中国、韓国=日本特許庁「中韓文献 翻訳・検索システム
・PCT=世界知的所有権機関「PCT Publication Dates(日本語記事)」

したがって、表1に示す国・地域・制度については、同日出願の場合には18か月経過した最初の日の曜日によって、最も早く出願公開する庁・機関が変わるように思えます。しかし、実際にはもう少し複雑になる場合があり、日本の公開特許公報を例にすると、出典(1)の1-1.では「出願日から起算して、18月(1年6月)経過後2週間以内」とあるように、通常、18か月に数日から十数日を足した日数を要します。また、韓国では曜日によらず発行されていますが、18か月に10日前後を足した日数を要しているものが多くを占めています。

さらに、日本の公開特許公報について、前出の出典(1)の1-1.への回答で「国内優先権主張出願における公開特許公報の発行につきましては、更に1ヶ月弱を要します。」とありますが、最近は通常の出願と変わらず「先の出願の出願日(優先日)から起算して18月(1年6月)経過後2週間以内」で発行されているものが多くなっています。しかし、これにも例外があり、国内優先権主張の基礎出願が複数ある場合には、「国内優先権の主張の基礎となる先の出願のなかで最も遅い出願日(優先日)から起算して18月(1年6月)経過後2週間以内」で発行されているものが目立っています。

なお、表2に示すとおり、登録公報もIP5では韓国を除いて、特定の曜日に発行されています。日本の登録公報(特許掲載公報)の場合、こちらの記事で紹介しましたように、「平成28年(2016年)3月から、特許公報を設定登録日から3週間以内に発行できるよう、順次発行期間短縮の運用移行を行います。」との発表が2016年1月22日付けであり、現在は出典(1)の1-1.への回答にある「特許公報:設定登録から3から4週間程度」よりも早く発行されうる運用となっています。そのため、特許掲載公報の発行を遅らせたい事情があるときは、査定又は審決の謄本が送達された後に、設定登録料納付について期間延長の請求(特許法108条3項)を行うといった対応を検討することになります。

このように、ある程度決まった運用に基づいて公報は発行されていますが、例外や運用変更もあるため、具体的な公報発行予定日が気になる場合には、事前に庁・機関へ問い合わせることをお薦めします。

【出典】
(1)日本特許庁「公報に関して:よくあるご質問
(2)日本特許庁「公報発行案内
(3)米国特許商標庁「Manual of Patent Examining Procedure (MPEP): 1120 Eighteen-Month Publication of Patent Applications [R-07.2015]
(4)米国特許商標庁「Helpful Hints Regarding Publication of Patent Applications
(5)欧州特許庁「European Publication Server > Help > Updates of the European publication server
(6)欧州特許庁「Espacenet: Help – Publication date
(7)日本特許庁「特許公報の発行に関わる運用の変更について
(8)日本特許庁「設定登録料納付の際の期間延長請求書について

※以下は、公報等の収録範囲に関する全般的な情報
(9)日本・工業所有権情報・研修館(INPIT)「J-PlatPat: 文献蓄積情報(特許・実用新案番号照会)
(10)欧州特許庁「Searching for patents > Technical information > Latest full-text coverage
(11)世界知的所有権機関(WIPO)「国内特許コレクション: データ収録範囲
(12)中国国家知識産権局「Patent Range

【参考】
中国国家知識産権局「关于调整专利公开公告出版周期的公告(第241号)」※2017年6月6日から公報の発行回数が週2回に変更になったことに関する通知
工業所有権情報・研修館(INPIT)「他国特許庁との工業所有権情報の交換、その情報の活用」※米国・欧州の公報の和文抄録データ、PCT出願の日本国内移行データに関する情報
日本特許庁「特許庁産業財産権制度問題調査研究について出願公開制度に関する調査研究」※日本及び主要国の出願公開制度の概要等を含む報告書

【関連記事】
知財トピックス(日本情報)<コラム>公報発行に関する基礎知識と最新情報 ~「特許公報の発行に関わる運用」及び「公開商標公報の発行日」の変更~(※追記あり) 2014-12-20
知財トピックス(東アジア情報)<コラム>韓国における特許取消申請制度の導入と最近の審査期間 2016-07-05

CONTACT

弊所に関するお問い合わせはWebフォームよりお願いいたします。