[特許/米国]USPTOのAppeals Review Panelによる自明型二重特許に関する先例的決定
2026年8月10日付けで、USPTOのAppeals Review Panel(ARP)は自明型二重特許(obviousness-type double patenting;OTDP)に関して新たな先例的決定を行いました(Ex parte Baurin, Appeal No. 2024-002920;下記リンクを参照)。ARPは2023年7月に新設された、査定系審判の審決に関して長官が自発的に招集できるパネルであり、メンバーは長官、特許局長及び特許審判部(PTAB)の首席判事の3名で構成されます。
本件決定の背景として、審査対象の特許出願が特許された場合にOTDPの根拠となる引例特許よりも5年早く満了するケースにおいて、審査官により「Anti-Harassment Rationale(嫌がらせ防止の論拠)」単独に基づくOTDPの拒絶がなされ、出願人が当該拒絶を不服として査定系審判を請求しました。ここでAnti-Harassment Rationaleとは、同一発明又はその自明な変形を対象とする特許を主張する複数の譲受人によって提起される別個の訴訟からの嫌がらせ(過度な負担)を防止するというOTDPの論拠で、特許権の存続期間の不当な延長を防止するというもう一つの論拠とともに審査基準にも明記されています(MPEP § 804)。
当該査定系審判においてPTABは、出願日が遅く満了日が遅い出願から付与された特許は満了日が早いクレームに対してOTDPの問題を生じさせないとして、審査官によるOTDPの拒絶を一旦は覆す判断をしました。しかしながら、ARPはPTABの判断を覆し、Anti-Harassment Rationaleが単独でOTDPによる拒絶の根拠になるとの先例的決定を下し、審査官によるOTDPの拒絶を支持しました。
一方、現在CAFCにおいてEx parte Baurinと同様にAnti-Harassment Rationale単独によるOTDPの拒絶が争点となっている事件(In re Ablynx N.V., No. 26-1333)が係属しており、実はARPによる決定においてもUSPTO自身がCAFCによるIn re Ablynxの判断を期待していることについて言及されています。引例特許よりも満了日が早いケースにおいて、引き続きAnti-Harassment Rationaleを単独の根拠としたOTDPの拒絶が維持されるのか、あるいはOTDPの拒絶の対象外とされることになるのか、CAFCの判断が待たれます。