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[意匠/中国]中国のハーグ協定加盟が発効

2022年5月5日に、中国のハーグ協定への加盟が発効しました。

 

これまで、意匠の簡単な説明や意匠の単一性(類似意匠制度)についての宣言についての情報が公開されていましたが(2022年2月8日の記事を参照)、今回の発効に先立ち、4月29日にWIPOが出したInformation Noticeにおいて、複製物(図面)の要件についての詳しい情報が新たに公表されました。

WIPO Information Notice No. 8/2022

https://www.wipo.int/edocs/hagdocs/en/2022/hague_2022_8.pdf

 

公表された内容は、これまでの中国意匠実務における図面の要件や、第4次改正専利法施行に伴う審査指南の改正草案(未だに正式に改正されていない)に沿ったものになっています。

 

詳しく見てみてみますと、まず、立体物の意匠については、基本的には正投影図法による6面図の提出が必要になります。ただし、意匠の特徴(設計要点)が存在していない面がある場合は、それらの面については正投影図に替えて斜視図にて開示することもできます。

その他、部分意匠の場合は、その部分を含む意匠全体の斜視図も追加で提出すべきこととされています。

 

GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)の意匠については、GUIが表示される物品の図面を少なくとも1図提出する必要があります。ただし、GUIが任意の電子機器に適用可能である場合は、物品を表さずにGUIのみを表した図面を提出することができます。

また、GUIが遷移する(変化する)場合は、基本の状態を正面図として提出し、変化の過程が明確になるように、キーフレーム(1つの変化の開始点と終了点)を表す図を変化した状態の図として提出することができます。

 

さいごに・・・

ハーグ経由の中国出願については、第4次改正に伴う改訂審査指南が公開されておらず、図面等の厳密な要件が不明であるため、図面等の記載要件を満たさないことを理由に拒絶されるリスクがある、とアドバイスしてくれる中国代理人もいます。確かにそのようなリスクはありますが、通常のパリルートで出願した場合であっても状況は同じです(もちろん、パリルートの場合は現地代理人のアドバイスを受けられるという利点がありますが。)。最近は図面の方式要件等を厳しく審査する傾向にあるように感じていますが、殆どの場合は補正をすれば拒絶理由は解消します。そのため、必要以上にそのようなリスクを恐れる必要はないと考えています。

当該リスクや、ハーグ出願におけるその他のデメリット(出願経過の公開など)と、ハーグ出願を利用することによるコストメリットとを比較衡量して、ハーグ出願を利用して中国に出願する価値があると判断した場合には、積極的に活用するのが良いのではないか、と思います。

以上

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