弁理士試験について語る

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第2部 短答・論文・口述式試験対策各論第1章 短答試験

第1話.短答試験の本番直前対策の秘訣「その1」と「その2」

2019/03/10 公開

弁理士試験の短答式の試験日が近づいています。世間では「一次試験」と呼ばれることもありますが、試験本番の数週間前から数日前までの“合格の秘訣・直前バージョン”を披露します。
よく考えれば“当たり前の留意点”です。しかし、当たり前であるからこそ確信をもって、「いまさら騒いでも仕方ない!」なんて諦めずに、「あと◎△日もある!」ということで、先ずは努力してください。

 

先ず「本番直前」とは何なのか。人によって条件が違うので一概には言えませんが、概ね本試験の2,3週間前以降と考えてください。それ以前は、条文を体系的かつ正確に理解するため、逐条解説(青本)をバイブルとして勉強すると良いでしょう。
しかし、本番の直前になってもこの勉強法を続けていると、条文を繰り返し勉強する(目を通す)という意味で回転速度が悪くなり(繰り返し回数が少なくなり)、ラストスパートが効きにくくなります。

短答試験合格の直前対策の秘訣「その1」と「その2」は、過去に私のブログ(ほんやら日記)でポイントを公開しています。まずは、その該当箇所を引用します。

「ほんやら日記」からのピックアップ
大事なことは「徹底的に条文に執着した勉強」をすることです。これが、合格の秘訣(その1)です。もし、受験生の貴殿が今、市販の短答問題集やら模擬試験の問題やらをやっているなら、「直ちに廃棄する」ことが合格の条件です。
今、どうしても問題をやりたかったら、過去の「本番の再現問題のみ!」としてください。これが、合格の秘訣(その2)です。弁理士試験の本番の問題は“試験後に公開”されます。このため、問題文の解釈が分かれる問題や、考え方によって答えが別れる問題は、巷間の模擬試験では出題されても、本番では出題されません。
本番では、解答に“疑義が出ない問題”が出題されます。「疑義のない問題」とは、解答する根拠が条文から直接に読み得る問題です。だから、「条文を理解すれば解答できる問題」が出題されます。
きわめて当たり前のことですが、これが、「徹底的に条文に執着した勉強」が大切な理由です。弁理士試験の短答式試験は、しょせんは一次試験であり、それ以上の試験でもなく、それ以下の試験でもないのです。市販の問題集や模擬試験の問題は、「本番の試験問題を参考に作られている」のですが、受験業者のオリジナリティを出すために改変しています。しかし…それ(本試験問題の一部改変)は合格を目指す受験者には“余計なお世話”なのです。
だから、市販の問題集は、受験産業の飯の種や、受験者のランク付けに使えることはあっても…本番で「合格を目指す受験者の勉強の役には立たない」のです。

上記のブログは2007年5月に公開していますから、私が本試験委員に就任する前です。この後に試験委員として短答問題の作成に関与して「想像していた通りだった。」と感じたことを今でも覚えています。

短答試験合格の直前対策の秘訣「その1」と「その2」をひとことで言えば、ひたすら「条文を繰り返し読んで頭に叩き込み、過去問をチェックして該当条文を読み込むことで条文理解を正確にしていく」ことに尽きるでしょう。
私がこのように断言する理由は、下記の3つです。

第1の理由は、短答式「試験の内容」は弁理士法第10条第1項で規定されており、具体的には、
(1号)特許、実用新案、意匠、商標(これらを「工業所有権」という。)に関する法令
(2号)工業所有権に関する条約(パリ条約、特許協力条約等)
(3号)弁理士業務に必要な法令であって、経済産業省令で定めるもの
に限定されていることです。
ここで、「法令」には法律の他に政令や規則(経済産業省令)も含まれますが、政令や規則については法律の条文と直接に関係する部分のみが対象になると考えて良いでしょう。
例えば、特許法8条(在外者の特許管理人)第1項には「…政令で定める場合を除き…」とありますから、これに該当する特許法施行令第1条は出題範囲だということです。また、例えば、特許法第41条(特許出願等に基づく優先権主張)第4項には「…経済産業省令で定める期間内に…」とありますから、この期間が何日であるかは出題範囲だということです。
しかし、法令には政令や規則が含まれるといっても、法令の主要かつ骨格部分は法律であり、政令や規則は付随部分に過ぎません。工業所有権に関する法令において法律は政令や規則に比べて圧倒的に重要な役割を占めていますから、本番直前の勉強は条文をひたすら頭に叩き込むことが中心になります。政令や規則については、法律の条文中に「…政令で定める場合を除き…」とか「…経済産業省令で定める期間内に…」とがの記載がある場合のみマークしておけば良い、ということです。

第2の理由は、条文の理解は過去問をチェックすることで正確さを増していく、ということです。条文には、制度の根幹をなす重要な規定(例えば、発明の進歩性の規定)がある一方で、付随的な重要度の低い規定や、他法の条文を引用したり読み替えたりして読みにくくなっている長文の規定があります。これら玉石混交の条文集をむやみやたらに読み込むのは得策ではありません。
そこで、過去問をチェックして玉石混交の条文の中から重要な規定(重要であるから過去に出題されている。)をピックアップし、条文の意味を正確に理解していくことが必要になります。
ただし、過去問チェックを勉強の中心に据えるのはお勧めしません。過去問は所詮、過去に出題された問題に過ぎず、今年の短答試験で同じ問題が出るわけではないからです。だからと言って、過去問を一部変形させた受験予備校の模試問題に手を出すべきではありません。
条文をひたすら読んで暗記することに集中するのではなく、ましてや、過去問をひたすら繰り返し解いて試験対策するのではなく、両方の勉強手法を関連付けていくこと、すなわち「過去問をチェックして該当条文を読み込むことで条文理解を正確にしていく」ことが秘訣です。

第3の理由は、短答試験で満点を取る必要はない、合格ラインが65%だとすると35%の問題は間違っても合格できる、ということです。法令の中には政令や施行規則も含まれるのは事実ですが、そのあたりは捨てたとしても“自分の合否を左右することはない”と考えるべきです。そして、工業所有権に関する法律と条約の“本法の条文”にターゲットを絞り、合格ラインを少し超えた70%台の正答率を狙うのが得策でしょう。

以上の次第で、短答試験合格の直前対策の秘訣は、
(1)ひたすら条文を繰り返し読んで頭に叩き込み、
(2)過去問をチェックして該当条文を読み込むことで条文理解を正確にしていく、

ことに尽きるでしょう。

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プロローグ

第1部 王道を行く弁理士試験勉強法

第2部 短答・論文・口述式試験対策各論

第1章 短答試験

第2章 論文試験

第3章 口述試験

第3部 受験生活を乗り切り、不合格を乗り越える

第4部 弁理士を志望している方に「本音ベース」で贈る言葉

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